[
書誌情報]
[
全文PDF] (2791KB)
[会員限定・要二段階認証][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 85(1): 77-81, 1984
原著
特異な肉眼的形態を呈したα-Fetoprotein産生胃癌の1例
I.内容要旨63歳男性の胃前庭部に生じたBorrmann II型の癌が切除されたが,癌は軟らかい分葉状の隆起を呈し,その一部が他の部位の癌組織の中にもぐり込むという特異な形態を示した.血清中α-fetoprotein (AFP) は最高19,000ng/mlときわめて高値であった.患者は術後40日目に肝転移等のため死亡した.切除胃癌組織は明るい空虚な胞体を有する細胞よりなり,高分化腺癌の様態を示したが,肝細胞癌あるいは一部の胎生期癌に似ているとも言える所見であった.peroxidase antiperoxidase (PAP) 法で胃癌原発巣中にAFPの存在が確認され,また電顕的には明るく空虚に見えた胞体内には非晶性の物質が多量に存在するのが認められた.文献的にはAFP産生自体は胃癌にかなり一般的に見られ,その多分化能の一端を示していると思われたが,発癌や分化という生物学的側面のみでなく,転移様式等診断治療上からも興味ある問題を提起している一例と思われた.
キーワード
α-fetoprotein, 胃癌, 転移性肝癌
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。