[
書誌情報]
[
全文PDF] (2142KB)
[会員限定・要二段階認証][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 85(1): 1-5, 1984
原著
腹膜炎ショック時の肝糖代謝
I.内容要旨腹膜炎によるエンドトキシンショック時の肝の糖代謝につきglycolytic intermediateとglucoregulatory enzymesを定量し検討した.腹膜炎群におけるglycolytic intermediateはsham-operated群と比較し,glucose-6-phosphate (G6P),fructose-6-phosphate (F6P) が33%,40%の減少を示した.Fructose-1,6-diphosphate (FDP) は135%の増加を認めたが,phosphoenolpyruvate (PEP) は有意差を呈さなかった.Pyruvateは176%の増加を示し,glycolysisの最終産物であるlactateは207%の著明な増加を示した. Glycolysisの key enzymeである phosphofructokinase (PFKase),pyruvatekinase (PKase) は腹膜炎群で13%,14%の有意な増加を呈した.GIuconeogenesisのkey enzymeであるglucose-6-phosphatase (G6Pase),fructose-1,6-diphosphatase (FDPase) は有意差を示さなかった.以上の結果より,エンドトキシンショックではPFKaseの活性化によりFDPが蓄積される.FDPはPKaseを活性化し, PEPを枯渇させ, glycolysisの進行を促すものと考えられる.またエンドトキシンショックではcellular hypoxiaにより,ミトコンドリアでのKrebs回路の回転が阻害されるために, gluconeogenesisが抑制され, glycolysisの亢進により,乳酸が蓄積されて細胞内の代謝活性は低下し,不可逆性の細胞障害へと進行することが示唆された.
キーワード
腹膜炎, 工ンドトキシンショック, glycolytic intermediate, gluconeogenesis, glucoregulatory enzyme
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。