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日外会誌. 84(12): 1237-1242, 1983
原著
呼吸器外科手術時の麻酔における片肺換気十HFJV (high frequency jet ventilation)の応用
I.内容要旨呼吸器外科手術時の麻酔においては, 適正な換気を維持しつつ,手術操作を容易にすることが要求される.片肺換気は手術操作を容易にするが高度な低酸素血症をきたす.また近年注目を集めているHFJV (high frequency jet ventilation)は小さな一回換気量で換気でぎるが,単独では換気条件設定が難しくCO
2蓄積をきたしやすい.この両換気法の長所を生かす方法として我々は,呼吸器外科手術時の麻酔5例において,健側肺には通常換気,術側肺にはHFJVを施行し,ガス交換および循環動態の変化を両肺通常換気時や片肺換気時のそれらと比較検討した.
健側肺通常換気,術側肺HFJVにより,PaO
2は片肺換気時の118±19mmHgから203±25mmHgヘと有意に上昇し (p<0.01 ),PaCO
2は29.3±1.3mmHgから24.5±1.4mmHgへと有意に低下した(p<0.05).シャント率(Qs/QT)も34.9±8.6%から20.9±7.5%へと有意に減少した(p<0.05).循環面では平均血圧,心係数および心拍数は,開胸前や閉胸後の両肺通常換気時のそれらに比し,有意の変化はみられなかつた.
健側肺通常換気ならびに術側肺HFJVを施行することによつて,片肺換気で生じる低酸素血症や,HFJVで生じるCO
2蓄積を防ぎえた.また,術側肺の膨張を最小限にとどめることで,適切な麻酔深度を保ちながら,手術操作を容易にならしめた.この方法は,呼吸器外科手術時の麻酔において非常に有用な換気法であると考えられる.
キーワード
呼吸器外科手術, 片肺換気, high frequency jet ventilation (HFJV)
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