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日外会誌. 84(11): 1149-1154, 1983


原著

大動脈-冠動脈バイパス術における心筋保護の問題点
-心筋局所の虚血に対する耐性について-

順天堂大学 医学部胸部外科
*) 現在,東京医科歯科大学 胸部外科 

砂盛 誠*) , 天野 純*) , 岡村 高雄*) , 小関 雅義 , 亀田 隆明 , 忽滑谷 通夫 , 小野寺 栄司 , 渡部 幹夫 , 鈴木 隆三 , 弘岡 泰正 , 大瀬 良雄 , 田中 淳 , 鈴木 章夫*)

(昭和58年2月3日受付)

I.内容要旨
大動脈-冠動脈バイパス術(CABG)に伴う perioperative myocardialin farction(PMI)の発生原因として,心筋局所のglobal ischemiaに対する耐性の違いが関係するという仮設を, CABG術後急性期に低心拍出症候群で死亡した症例の剖検例を対象に心筋の病理組織学的検索をもとに検討した.
術前の冠動脈造影像をもとに,狭窄度が50%,70%,90%の冠動脈末梢領域の心筋を光顕的に検索した.狭窄度の低い或いは狭窄度の高い冠動脈末梢領域でも,光顕レベルでperioperative myocardial damageがみられ,そのような虚血障害巣が散在性に正常心筋の中に混在する.Revascularization の有無にかかわらず同様の所見が認められた.全症例ともほぽ一定条件のglobal isuhemiaに曝されたにもかかわらず,このような不均ーな虚血巣がみられた.このことから,心筋局所のglobal ischemia に対する耐性の違いが存在することを示唆する.

キーワード
A-C Bypass術, 心筋保護, 虚血心筋

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