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日外会誌. 84(10): 1025-1030, 1983


原著

移植上皮小体の機能,特に予備能について

福島県立医科大学 第2外科

鈴木 定雄 , 渡辺 岩雄 , 遠藤 辰一郎

(昭和57年12月7日受付)

I.内容要旨
上皮小体全摘後,組織の一部を自己移植した腎性上皮小体機能亢進症及び上皮小体癌再発例の移植上皮小体の生着・機能について検討を加えた.
移植上皮体機能の検討として移植部灌流肘静脈.対側肘静脈より経時的なPTH assayを施行した.
また予備能は術後10カ月経過した時点で, porcine calcitonin 80 MRCの負荷による低Ca血症環境下でのCaF2+,CT及びPTHの動態から検討した.
その結果 (i) 移植上皮小体は術後2週頃よりPTH分泌をはじめ,以後,移植側肘静脈は非移植側肘静脈に比べて2倍以上の値を示すに至る.(iI) porcine calcitonin負荷による移植側肘静脈及び非移植側肘静脈. C-PTH,N-PTHの検討から上皮小体自己移植例はいづれも低Ca環境に対する反応は迅速であり, C-PTH,N-PTHの十分なる追加分泌を発現し,予備能を維持していることが明らかである.なお, Ca低下とPTH分泌は対照とした健常人と同様に鏡面的関係にある.
以上より,移植上皮小体は生着し、しかも機能とともに十分なる予備能をもそなえていることが判明した.

キーワード
自己移植, 上皮小体機能, 上皮小体予備能

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