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日外会誌. 84(6): 545-555, 1983
原著
異種膵ランゲルハンス氏島移植に関する実験的研究
-IRRADIATION-による生着延長効果について
I.内容要旨異種膵ランゲルハンス氏島移植の可能性を追求する目的で, golden hamsterをdonorとして, wistar系ratをrecipientとした異種膵ラ氏島移植の実験モデルを作製し, Total Body Irradiation (TBI) およびTotal Lymphoid Irradiation (TLI) による移植片の生着延長効果について検討した.collagenase消化法により1匹のgolden hamsterから400~500個の膵ラ氏島を分離した.糖尿病の作製には, streptozotocinを用い, Wistar系ratに65mg/kg静脈内投与した.1,200個の分離膵ラ氏島をrecipientの門脈内に移植し,移植後正常に復した血糖値が再び200mg/dl以上となつた時点を,移植ラ氏島の拒絶と判定した.
TBIは,照射源として
60Coを用い, 60cmの距離より毎分115.2radにてrecipientに対し全身照射した. TLIは照射野を主要リンパ組織にのみ限定し,1回200rad,1週に5回の割合で分割照射した.
無処置群の平均生着日数が2.9±0.6日(n=7)であるのに比較して,TBI 200rad処置群では3.4±0.7日(n=10,p>0.05)と有意の差を認めなかつたが,TBI 400rad処置群では9例中5例が30日以上生着し,そのうち3例に80日以上の長期生着を認めた.TLI 400rad処置群では,平均生着日数が3.1±0.8日(n=7,p>0.05)で無処置群との間に有意の差を認めなかつたが,TLI 800rad処置群では, 9.7±2.1日(n=6,p<0.01)と軽度の, TLI 1,200rad処置群では, 30.3±11.7日(n=7,p<0.01)と著明な生着延長効果を認めた.
無処置群,TLI 400rad処置群では,移植後2日目よりrat anti-hamster lymphocytotoxic antibody titerの上昇を認め, humoral immunityが拒絶反応の一因と考えられた. 一方,生着延長効果を認めたTLI 800rad,TLI 1,200rad処置群では,拒絶食もtiterの上昇を認めず,拒絶反応には, humoral immunityよりもむしろcellular immunityが関与していることが示唆された.
キーワード
pancreatic islet xenotransplantation, total body irradiation, total lymphoid irradiation, lymphocytotoxic antibody titer
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