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日外会誌. 84(3): 256-262, 1983


原著

原発性アルドステロン症13例の経験病理組織学的所見と病態診断との関係について

鳥取大学 医学部第2外科(主任森透教授)

尾崎 修武 , 小林 薫 , 野津 長 , 丸山 茂樹 , 則武 正三*) , 平井 啓介 , 提嶋 正 , 森 透

(昭和57年6月12日受付)

I.内容要旨
原発性アルドステロン症は,本来は副腎皮質のアルドステロン産生腺腫によるものであるが,手術に際しては副腎皮質の両側性びまん性過形成による特発性アルドステロン症との鑑別が必要となる.一方,最近副腎皮質腺腫に多発性結節性過形成が屡々併存することが明らかとなっているが,腺腫以外の併存病変の診断と手術的取扱いに関してはなお議論のあるところである.
我々は昭和38年から56年までの19年間に原発性アルドステロン症の診断のもとに手術された13例を経験したが, これら症例を対象に,副腎皮質腺腫と腺腫以外の部分にみられる合併病変とを病理組織学的に検索し,その所見と臨床的病態診断上の所見との関係を調べて以下の結果を得た.
(1) 原発性アルドステロン症は,病理組織学的に(i)腺腫のみのもの,(ii)腺腫以外にも多発性結節性過形成を合併するもの,(iii)多発性結節性過形成のみのもの,の3群に分けられた.
(2)上記のように組織学的に分類された3群のうち(ii)及び(iii)群では三者負荷のような強い負荷をかけるとレニン活性の上昇がみられ,腺腫以外の合併病変の存在が推定された.
このように,単発腺腫と診断されても組織学的には多発性結節性過形成のうちのdominant noduleであつたり,或いは,強力な負荷をかけることによつて腺腫以外の併存病変を推定できるものもあるが,手術に際してこれらの併存病変をどうするかに関しては,長期にわたる術後成績などを含めて今後も検討する必要があろう.

キーワード
原発性アルドステロン症, 副腎皮質腺腫, 多発性結節性過形成, 血漿レニン活性

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