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日外会誌. 84(3): 186-195, 1983
原著
カテコールアミン投与下における脂肪の利用に関する実験的研究
I.内容要旨侵襲期における脂肪乳剤の有用性を知る目的で,侵襲期のモデルとしてカテコールアミンを負荷したラットを用い,脂肪乳剤を含むものおよび含まない輸液にて5日間管理し,その間の体重変動,累積窒素平衡,および5日目の肝内トリグリセライド含量,血糖値,血中インスリン値,遊離脂肪酸値を比較検討した.実験にはSprague-Dowley系ラット30匹を用い,カテコールアミン投与の有無により,エピネフリン群とノルエピネフリン群,対照群に分け, さらに各群を脂肪投与の有無により,脂肪群とグルコース群に分けた.その結果, 1) 対照群ではグルコース群でのみ体重の増加を認め,脂肪群との間に有意差を認めたが,カテコールアミン投与群では脂肪群,グルコース群の間に有意差を認めなかつた. 2) 5日間累積窒素平衡は,対照群では脂肪群に比ベグルコース群で有意な窒素蓄積傾向を認めたが,カテコールアミン投与群では両群間に有意差を認めなかつた. 3)血糖値は対照群では脂肪群で,カテコールアミン投与群ではグルコース群で上昇傾向を認めた. 4)血中インスリン値は対照群,カテコールアミン投与群ともグルコース群で上昇傾向を認めた. 5)血中遊離脂肪酸値はカテコールアミン投与群の脂肪群で特に増加傾向が著しく,グルコース群では対照群に比ベカテコールアミン投与群で逆に低下傾向を示した. 6) 肝内オリグリセライド含量はカテコールアミン投与群のグルコース群および対照群の脂肪群で増加し,組織学的にも脂肪肝の像を呈していた. 7)肝内トリグリセライド含量と血糖値との間には正の,血中遊離脂肪酸値との間には負の相関々係を認めた.
キーワード
カテコールアミン, 侵襲期, 脂質代謝
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