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日外会誌. 84(1): 20-30, 1983
原著
無血体外循環における腎機能の評価
I.内容要旨開心術における無血体外循環研究の一環として各臓器に与える影響を知る為,最も鋭敏な臓器の一つである腎臓を標的臓器とし,系統的腎機能検査を行ない充填血体外循環との間で比較検討した.
症例は無血体外循環施行49例,充填血体外循環施行25例の計74例で, さらにこれらを15歳以下の小児例, 16歳以上の成人例に分類すると無血小児群15例,充填血小児群18例,無血成人群34例,充填血成人群7例であり, これら各群間で検討を行なった.
腎機能検査として血清クレアチニン,クレアチニン・クリアランス,血中尿素窒素,尿中尿素窒素・血中尿素窒素比,尿中Na•K 比を測定,さらに循環動態に差異がないかを知る為に体外循環中の潅流量,全末梢血管抵抗,体外循環後の心指数を検索した.
その結果,1)無血体外循環施行群,充填血体外循環施行群の体外循環中の潅流量,全末梢血管抵抗,又体外循環後の心指数には両群間に差異なく血行動態は略同じであるが,2)無血体外循環は臨床上問題となる様な腎機能障害発生が少なく腎機能の面からみて安全な循環法であった.3)無血体外循環群と充填血体外循環群との腎機能を比較すると,無血群の腎機能は充填血群と同等もしくはより良好な傾向を示した.4)74例中充填血小児例に3例,無血成人例1例に腎不全発症をみた.いずれも術後のLOSあるいは心不全が原因と考えられた. 1例は救命し得たが, 3例は心不全,Sepsis等の合併症のため失なった.
キーワード
開心術後腎機能, 無血体外循環, 充填血体外循環, 開心術後急性腎不全
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