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日外会誌. 84(1): 8-19, 1983


原著

Isotope Uptakeを指標とした新制癌剤感受性試験法の基礎的研究

名古屋大学 医学部第2外科

榊原 聡

(昭和57年6月7日受付)

I.内容要旨
In vitroの制癌剤感受性試験法として,癌細胞の制癌剤による障害をIsotope uptakeにて測定する方法を考案し,その基礎的研究を行なった.方法は癌細胞を一定濃度の制癌剤とともにmicroplateにて培養し,1,2日後3Hでlabelしたprecursorを注入して,更に24時間後cell harvesterにて癌細胞を漏紙上にharvestし,細胞内に取り込まれた3HをLiquid scintillation counterにて測定した.precursorはDNA合成のindicatorとして3H-TdRを,RNA合成のindicatorとして,3H-URを,蛋白合成のindicatorとして3H-Leuを使用した.感受性の判定は制癌剤を加えた処置細胞のcpmと無処置細胞のcpmの比をもつてInhibition Indexを計算して指標とした.
この試験法の前提条件として,無処置細胞のcpmが算定出来,それが経時的に上昇するような培養条件が必要である. Ehrlich腹水癌,吉田肉腫細胞を用いた実験にて,接種する至適細胞数は1×105/mlであり,判定する時期は培養2日前後であり,3H-precursorとの露出時間は24時間が適当であることが判明した.また人癌由来細胞株を用いた実験にて, Mitomycin Cの効果判定には3H-TdRを使用し,短期間の培養でよいが5-Fuでは3H-URにて3日間の培養が必要であつた.
本試験法の結果はin vivo-in vitro assayにてEhrlich腹水癌細胞の生死とよく相関し, ヌードマウスに移植した人癌細胞株に対する制癌剤の効果ともよく相関した.

キーワード
制癌剤感受性試験, Isotope incorporation

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