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日外会誌. 83(12): 1429-1436, 1982
原著
胆嚢ポリープの臨床と病理
I.内容要旨胆嚢小ポリープを「茎ないしくびれを有する粘膜の小限局性隆起」に限定し,これに該当する22例を臨床および病理学的に検討した.これら22例の小ポリープを組織所見に基づいて分類すると腺癌は4例,腺腫は7例,コレステロールポリープは11例であつた.腺癌からなるポリープは,その大きさが6mmから14mmまでで,茎の太さは1mmから3mmまでとやや太めであり,組織学的にはポリープの半分ないし大半を乳頭管状腺癌に,残りの部分を腺管腺腫により占められており,いずれも粘膜内癌であつた.腺腫からなるポリープの大きさは3mmから9mmまでで,組織学的には腺管腺腫2例,乳頭腺腫5例であつた.コレステロールポリープはすべて糸状の極めて細い茎を有し,一層の円柱上皮に囲まれたポリープ内には泡末細胞が充満しているものが多かつたが,泡末細胞に乏しく上皮の乳頭状増生の目立つ例も存在した.超音波検査法の発達により胆嚢小ポリープの存在診断能は向上してきたが,その質的診断は困難であつた.胆嚢小ポリープの治療方針としては腫瘍性病変を否定できない限り切除を原則とすることが望ましく,ことに女性でポリープの大きさが6mm以上の場合や,ポリープの茎が糸状でなくやや太めである場合には,腺癌である割合が高率であつたため速やかに切除すべきと考えられた.腺癌4例中3例には単純胆嚢摘出術が,1例には胆嚢摘出術,肝床部の肝部分切除および胆嚢管,胆管リンパ節の郭清が行われた.現状では症例数が少なくどのような形態やどの位の大きさまでのポリープ状の癌が,深部浸潤やリンパ節転移の恐れがないかの規準が確立されていないため,著者らは癌と診断したポリープに対しては,原則として肝床部の脂肪結合織を切除し肝実質を露出する胆嚢全層摘出術と胆嚢管,胆管リンパ節の郭清を行いたいと考えている.
キーワード
胆嚢ポリープ, 胆嚢腺腫, 胆嚢ポリープ癌, 胆嚢コレステロールポリープ
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