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日外会誌. 83(12): 1411-1416, 1982


原著

クローン病の術後病態
-とくに早期再発診断の指標について-

東北大学 第一外科(指導:佐藤寿雄教授)

内藤 広郎 , 亀山 仁一 , 佐々木 巌 , 土屋 誉 , 成井 英夫

(昭和57年7月9日受付)

I.内容要旨
開腹術を施行したクローン病患者10例を対象として,これらを非再発群6例,再発群4例に分け,術前および遠隔時における主に血液学的臨床検査成績の面から術後病態,ならびに再発を早期に診断する指標について検討し以下の成績を得た.
非再発群では体重増加も良好で遠隔時にHb値,血清鉄,Ca値等は正常値を示したが,非再発群では低値を示し栄養状態が不良であつた.
また,非再発群では遠隔時に赤沈,CRPが正常値を示したが,再発群ではそれぞれ高値を示し,慢性炎症反応が存在するものと思われた.免疫グロブリンではIgG,IgAが遠隔時に非再発群で正常値を,再発群で高値を示した.また,IAPにも同様の傾向がみられた.このような成績から以下の結論を得た.
1) 非再発群の術後成績は良好で健康人と同様であつた.従つて,クローン病もshort bowel sydromeにならないような症例では手術をした方が良い場合があると思われた.
2) 術後再発を早期に診断する指標としてHb値,血清鉄,赤沈,CRP等が有用と思われた.
3) 再発群では免疫状態に異常がみられ,IgG,lgA,IAPも再発の指標となる可能性が示唆された.

キーワード
クローン病, 血清鉄, 血清カルシウム, 免疫グロブリン, IAP

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