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書誌情報]
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日外会誌. 83(11): 1265-1274, 1982
原著
高年者僧帽弁手術におけるrisk factorの検討
-特に手術々式別にみたLOSによる術後早期死亡と諸因子との関連について-
I.内容要旨40歳以上の高年者僧帽弁手術患者120例を対象として,術後早期LOS死亡に関係すると考えられるrisk factorを検討した.症例は40~49歳および50歳以上の年齢と僧帽弁手術々式により6群に分類し,約70項目の因子について早期LOS死亡例と生存例との比較検討を行つた.各群で若干異なる結果もみられたが,①心胸廓比70%以上,②左室収縮末期短径50mm以上,③左室拡張末期短径60mm以上,④左室駆出率0.4以下は年齢,術式とは関係なく,ほとんどの群で早期LOS死亡例と生存例との間に有意差が存在しrisk factorと考えられた.また統計学的に有意差は見出せなかつたが,①連合弁膜症,② NYHA心機能分類IV度,③心房細動,④完全体外循環時間120分以上,⑤体外循環終了時収縮期血圧90mmHg以下,⑥cold pharmacological cardioplegiaを用いない不適切な術中心筋保護,⑦術前および体外循環終了後6時間目において肺動脈楔入平均圧> 18mmHg時での心拍出係数く2.0L/min/m
2,⑧体外循環終了後6時間目におけるCPK-MB>50I.U.,動脈血乳酸値>80mg/dl,負の心筋乳酸摂取率は疾患や術式の如何にかかわらずLOS死亡に強い関連がみられ,留意せねばならない因子と考えられた.
キーワード
高年者僧帽弁手術, 術後早期LOS死亡, risk factor, 心筋保護
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