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日外会誌. 83(4): 352-356, 1982


原著

腎性骨異栄養症における上皮小体画像診断の意義について

*) 愛知県がんセンター病院 第三外科
**) 名古屋第二赤十字病院 腎移植センター
***) 名古屋大学 第二外科

高木 弘*) , 冨永 芳博**) , 石井 高博**) , 打田 和治**) , 山田 宜夫**) , 森本 剛史*) , 安江 満悟*) , 加納 忠行***) , 川原 勝彦***)

(昭和56年11月20日受付)

I.内容要旨
慢性腎不全に対する透析療法の普及と進歩は著しいが,腎性骨異栄養症は保存療法に抵抗する長期透析患者の深刻な合併症である.
われわれはこの腎性骨異栄養症のうちで上皮小体機能亢進症と診断した25例に上皮小体摘出術を行つた.これを骨X線像や血清PTH等の臨床所見のみから手術適応を決定したA群(9例)と上皮小体画像診断を導入したB群(16例)に分けた.A群の平均年齢は33.2歳,平均透析期間は4年5ヵ月で,B群はそれぞれ38.1歳と5年9ヵ月であつた.
非侵襲性の画像診断としてC.T.とU.S.を行い,さらに201TlCl(上皮小体と甲状腺)と99mTcO4-(甲状腺)のScintigraphyを行つた.
C.T.では摘出重量500mg以上の34腺のうち30腺(88.2%)を術前診断した.U.S.では横断像のみでなく,縦断像も簡便に得られて精度も高いが,上縦隔の検索には無力である.201TlClと99mTcO4-のScintigraphyは両者の単純な比較よりもComputerによるsubtractionにより精度が良くなつた.
上皮小体摘出総重量はA群に小さいものが含まれており,1000mg以上は9例中4例に過ぎない.これに対しB群では例外的な1例を除けば全例1000mg以上の重量があつた.そして上皮小体摘出術の臨床効果もB群において一様に顕著であつた.
画像診断で腫大した上皮小体を確認することは,単に部位診断になるだけでなく,上皮小体機能亢進症の直接的診断となり,さらに保存療法の効果判定に役立つと考える.

キーワード
腎性骨異栄養症, 上皮小体機能亢進症, 画像診断, C.T.(Computed Tomography), U.S.(Ultra-Sonography)

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