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日外会誌. 83(1): 122-131, 1982


原著

膵癌に対する拡大手術の検討
-主要血管合併切除,Appleby手術,膵全摘を中心に-

東京女子医科大学 消化器外科

高田 忠敬 , 羽生 富士夫 , 中村 光司 , 福島 靖彦 , 今泉 俊秀 , 吉川 達也 , 安田 秀喜 , 金山 成保 , 大橋 正樹 , 鈴木 衛 , 内山 勝弘

(昭和56年10月22日受付)

I.内容要旨
膵癌の切除率ならびに遠隔成績の向上を目的に,膵周囲の主要血管切除やAppleby手術,膵全摘など拡大手術を積極的に導入し,その成績ならびに術式上の問題点を検討した.膵癌切除率は,従来の9%から拡大手術を導入した1978年以降では48.9%と向上した.治癒切除率は,膵十二指腸切除26%,膵体尾部切除30%に対し拡大手術64%であつた.門脈切除13例中,人工血管再建3例中2例が血栓閉塞したが,端々吻合10例には問題はなかつた.
動脈切除再建の4例中1例に血栓閉塞をみた.Appleby手術3例中1例に胆嚢・肝外胆管壊死をみたので1例に大伏在静脈オートグラフトによる総肝動脈再建を行つた.膵全摘8例の消化管再建は,BI型4例,BII型2例,Roux en Y型2例で,BI型再建に逆流性胆管炎に起因する重篤な合併症をみたが,BII型やRoux en Y型では合併症をみていない.予後についてはいまだ3年と近接予後であるが,最長生存例は2年11カ月生存中のものがある.

キーワード
膵癌, 膵全摘, 門脈合併切除, Appleby手術, 膵十二指腸切除

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