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日外会誌. 82(12): 1468-1484, 1981
原著
総胆管末端部筋の運動に関する研究
-特にヒトの無胆嚢下, 低流量灌流時における運動について-
I.内容要旨総胆管末部部筋の胆汁排出過程における運動様式とその役割を解明するために,同筋群に初圧および胆道造影上,病変のない症例を選び, T字管よりの胆道内圧測定,胆道X線連続撮影をおこなつた.またヒトの総胆管末端部筋の数個所より同心円状の収縮を上方凸の波形としてポリグラフで 捉えられるmultipolar pressure sensorを考案し, この波形(筋力図)を分析した.家兎を使用して特殊な多極針電極による総胆管末端部筋筋電図分析もおこなつた.
Pentazocine, morphineおよびmeperidine投与では,総胆管末端部筋は全体として持続的収縮を示し,活動電位の肝側より十二指側へのずれをほとんど認めなかった.胆汁の十二指腸内への排出も停止し,胆道内圧も著明に上昇した.
ヒトの総胆管未端部筋はhyoscine butylbromide等の抗コリン剤投与では運動は停止し,弛緩するが,総胆管末端部筋の最終部の自然のtonusによつて軽度の胆汁うつ滞をきたした.
Metoclopramide投与では, ウサギの末端部筋筋電図でも活動電位の活発化と肝側より十二指腸側への活動電位のずれを認め, ヒトの筋力図分析では,やはり運動波形の増強と同様なずれを認めた.十二指腸内への胆汁の流出も増加し,同時に胆道内圧は軽度低下した.
したがつてヒトの総胆管末端部筋は無胆嚢下(胆嚢摘除後),低流量灌流下では,括約筋としての運動は示さず,蠕動筋としての運動様式を示し,本筋群の収縮運動によつて,胆汁は十二指腸内へ 排出されることが強く示唆された.
キーワード
総胆管末端部筋, 胆道内圧, 胆道造影, 筋電図, 筋力図
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