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日外会誌. 82(11): 1339-1345, 1981
原著
遠位脾腎静脈吻合術の肝への影響(実験的研究)-Eck手術との比較
I.内容要旨雑種成犬を用い,選択的shunt手術である遠位脾腎静脈吻合術の肝に及ぼす影響を, Eck手術と対比して,術後1か月目で検討した.肝血行動態の検討には,水素ガスクリアランス法による肝局所血流量とICG血漿消失率(K
ICG)を用いた. アンモニア処理能の検討には経口アンモニア負荷を用いた.さらに肝組織像についても検討した.
成績:①肝局所血流量はshunt犬で平均13.2%の低下であり, EcKの犬の平均47.8%の低下より有意に(p<0.01)軽度であつた.② ICG血漿消失率はshunt犬で平均16.6%の低下であり,Eck犬の平均58.5%の低下より有意に(p<0.01)軽度であつた.③経口アンモニア負荷はshunt犬では術前とほとんど変化は認めなかったが, Eck犬では前値の有意な(p<0.01)上昇のみならず, アンモニア処理能の低下を認めた.④肝組織像はshunt犬ではほとんど変化を認めなかつたが, EcK犬では肝細胞の萎縮・変性, sinusoidの拡張および肝細胞索の乱れを全般に認めた.
以上,遠位脾腎静脈吻合術の肝に及ぼす影響はEck手術に比較してはるかに軽微であるといえる.
キーワード
遠位脾腎静脈吻合術, 門脈下大静端側吻合術, 肝局所血流量, KlCG, 経口アンモニア負荷
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