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日外会誌. 82(7): 791-800, 1981


原著

間歇的強制補助循環法を用いた虚血肢に対する早期の側副血行路増進に関する研究

日本大学 医学部第2外科学教室(主任:瀬在幸安教授)

五十嵐 有光

(昭和56年3月13日受付)

I.内容要旨
直接血行再建術の適応とならない下肢慢性動脈閉塞症の末梢型に対しての側副血行路の早期発達を促進させるため間歇的強制補助循環法を考案し,その有効性について本研究を行なつた.
雑種成犬の膝窩動脈及び伏在動脈を膝関節部中心にそれぞれ2カ所結紮し阻血肢を作成した.拍動ポンプを仲介とした閉鎖回路を作成し,阻血肢大腿動脈より補助循環を行ない血行動態的,組織学的検索を行ない検討を加えた.
補助循環開始後,拍動ポンプの送血圧は2時間以上では著明に増加を認めた事は,末梢血管抵抗の増大を示唆している.色素希釈曲線にては,波形の出現時間の短縮, ピークまでの時間の短縮は結紮群よりも腰交切群にて著明であるがそれらは側副血行路による循環時間の短縮を示唆していると思われる.血管造影にては,結紮群では樹枝状,腰交切群では階段状の側副血行路を認めており,組織内温度では,開始後は低下を示すも経時的に施行前値に近くなつている事は血流量の増加を示唆している.病理組織学的には著変は認めていない.
以上より虚血肢に対して早期の側副血行路を促進させる方法としての間歇的強制補助循環法をくり返し用いる事は有効であり,臨床への応用も可能である.

キーワード
慢性動脈閉塞症, 間歇強制補助循環, 側副血行路, 腰部交感神経節切除術, 色素希釈法

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