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日外会誌. 82(7): 731-738, 1981
原著
肺癌におけるSleeve Lobectomy,とくに肺動脈形成術を伴うSleeve Lobectomyの検討
I.内容要旨我々はこれまで肺疾患41例に対して気管気管支の再建を行つてきたが,そのうち肺癌は28例であつた.肺癌におけるSleeve Lobectomyにおいては,病巣が気管支のみにとどまらず隣接した肺血管を侵襲していることがしばしばであり,肺動脈形成術を必要とされることがある.本稿においては, 6例の肺動脈形成術を行ったSleeve Lobectomy症例を中心として適応,術式,切除肺動脈部の組織学的所見,さらに術後の肺機能や予後に関して検討した.
肺癌における肺動脈形成術を伴うSleeve Lobectomyは,術前肺動脈造影によつて必ずしも予測されるわけではないが,吻合手術は容易であり,術後早期の合併症も特異的なものはみられず,また術後の残存肺機能も温存されていることが知られた.
肺動脈形成術を併用した6例の予後をみると,術後5月~ 2年7月の間に全例死亡しており,必ずしも良好ではなかつた. 6例中1例は術後5月肺炎によつて死亡したが,残る5例は癌死した.癌死症例のうち剔出肺動脈の組織学的検索によつて,肺動脈の中膜あるいは内膜までの癌浸潤所見のみられたものは,術後明らかな遠隔転移がみられた.
本術式の逐行に当つては,術中治癒手術を行う努力をすることはもちろんであるが,術後はとくに,十分な補助療法が必要となることを留意しなければならない.
キーワード
肺癌, 肺動脈形成術, Sleeve lobectomy, 肺癌血管侵襲, 肺癌手術予後
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