[
書誌情報]
[
全文PDF] (6003KB)
[会員限定・要二段階認証][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 82(6): 671-680, 1981
原著
膵大量切除後の残存膵内分泌機能
I.内容要旨膵切除にともなう残存膵内分泌機能の推移をα・β両細胞機能から検討し興味ある知見を得たので報告する.対象は胃全摘・65%膵尾側切除21例, 50%膵尾側切除22例,膵頭十二指腸切除8例, 胃・膵全摘2例,単純胃切除18例および胃癌術前例35例である. これら症例に対し経時的にIV-GTT・ATTを行ない 耐糖能・インスリン分泌能・グルカゴン分泌能を検索し以下の成績を得た.
1. 耐糖能(K値)は65%膵切群では術前群に比し有意の差で低下したが, 50%膵切群では術前群に比し低下するも有意差はなかつた.
2. インスリン分泌能は膵切除量に対応し低下し, 65%膵切群では術後経過とともに極めて低いレベルヘ低下した.
3. グルカゴン分泌能は膵切除群では術直後低下するもその後分泌改善し,切除量による差異をみとめなかつた.
4. 膵全摘例ではアルギニン負荷によるIRG分泌(30Kで測定)はみとめなかつた.
5. 65%膵切除群21例中4例(19%)が術後6カ月~ 14カ月目にSandmeyer型糖尿病を発症した. これら症例ではインスリン分泌が欠如し,グルカゴン分泌は過剰反応を示した.
以上の成績より膵切除後のインスリン分泌は切除量に対応低下し,切除量が一定量を越えると術後経過とともにインスリン分泌は低下するが,グルカゴン分泌は切除最との関係はなく術後もよく温存される事が明らかとなった. またSandmeyer型糖尿病はインスリン分泌の極度の低下とグルカゴン分泌の増羅により発症する事,さらに胃切除という条件下では65%前後の膵切除により糖尿病が発症する可能性のある事が示唆された.
キーワード
Sandmeyer型糖尿病, インスリン, グルカゴン, 膵切除
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。