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日外会誌. 82(2): 121-129, 1981
原著
甲状腺癌手術の根治性と再発
-甲状腺癌治療の指針-
I.内容要旨甲状腺癌の治療を行なうにあたつて,各症例が今後どのような経過をたどりうるかを把握することはきわめて大切である.
ここでわれわれは甲状腺癌の予後がその組織型に大きく左右される点から,甲状腺癌を高分化癌・低分化癌・未分化癌に分類し, 各組織型における① 初回治療・cntrol率,② 初回治療より再発までの期間, ③ 再発・再燃の部位, ④ 初回治療より死亡までの期間, ④ 予後に関して検討した.
この結果
1) 甲状腺癌の初回治療・control率
a. 高分化癌・全症例で74.7%,肉眼的相対治癒切除例で82.3%,相対切除例以上で100%である.
b. 低分化癌・全症例で39.4%,肉眼的相対治癒切除例で52.9%,相対切除例以上で100%である.
c. 未分化癌では初回治療control率は0%である.
2) 再発までの期間
甲状腺癌の再発までの期間は,術後2年前後に再発する早期再発, 5年前後の中期再発,10年以上の晩期再発がある.高分化癌は大部分10年以内に再発が確認されており,低分化癌では5年以内,未分化癌は1年以内に再発している.
3) 再発部位
再発部位は,甲状腺およびその周囲が最も多く,次いで深頚リンパ節群,気管前旁~上縦隔リンパ節群である.
4) 死亡までの期問
死亡までの期間は, 初回治療後1~2年の早期死亡, 5年前後の中期死亡, 10年以上の晩期死亡があり, 高分化癌では早期~晩期死亡があり,低分化癌では早期~中期死亡,未分化癌は大部分早期死である.
5) 予後
甲状腺癌の予後は,その組織型によつて明らかに推計学的差がある.
以上の事実をふまえて,甲状腺癌の治療が行なわれるべきと考えられる.
キーワード
甲状腺癌
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