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日外会誌. 82(1): 12-21, 1981
原著
所謂人工血液(Fluosol-DA)を灌流液とする屍体内臓器灌流の基礎的研究
I.内容要旨教室に於る臓器移植研究の一環として,酸素運搬能の優れた人工血液(Fluosol-DA)を潅流液として使用した場合の屍体内臓器潅流保存に関し,雑種成犬24頭を用い検討した.
1)常温潅流犬の全末梢血管抵抗(以下TSPR)は温阻血時間(以下WIT)0分に於ては,Fluosol-DA(以下FDA)潅流犬では,乳酸加リンゲル液(以下LR)潅流犬に比し低値であつた.
2)FDA使用低温潅流犬のTSPRはFDA使用常温犬に比し著るしく減少,殊に潅流液の酸素化時1.5%の割でCO
2を附加せる低温潅流犬(CO
2附加犬)では更に減少した.WIT 0,30分犬に於ては,LR使用犬,CO
2無附加犬,CO
2附加犬の間に有意の差は認められなかつたが,WIT 60分犬ではCO
2附加犬はLR使用犬に比して低値であり,WIT 120分犬ではCO
2附加犬はCO
2無附加犬とLR使用犬に比して低値を示した.
3)FA使用常温潅流犬(WIT 0分)では,PCO
2,pHともに著変を認めなかつた.FDA使用低温潅流犬(WIT 0,30,60,120分)では,CO
2無附加犬に於てはPCO
2の低下,pHの上昇による高度のアルカロージスがみられたが,CO
2附加犬に於てはPCO
2の低下はなく,pHに著変なくアルカロージスの発現はみられなかつた.
4)GOT,GPT,LDHは,CO
2無附加犬,CO
2附加犬ともに,WIT 60,120分犬では潅流1時間より高値となつたが,WIT 0,30分犬では変化は軽徴であつた.
5)電解質,BUN,クレアチニンはCO
2無附加犬,CO
2附加犬ともに,WITの長短に関らず著変をみなかつた.
キーワード
臓器移植, 屍体内臓器灌流, 人工血液(Fluosol-DA), 温阻血時間(WIT)
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