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日外会誌. 81(6): 556-561, 1980
原著
バセドウ病術後遠隔成績
I.内容要旨バセドウ病の術後遠隔成績は術後の甲状腺機能が正常か否かと手術の合併症の発生率の大小により評価されるものと考えられる.本論文ではバセドウ病の手術法,特に甲状腺をどのくらい残置しているか,その結果甲状腺機能はどうかを調査検討した. 甲状腺機能は主として自覚症による臨床診断と, TSH, T
3, T
4, T
3RSUにより診断基準を設けた検査診断を行い,その結果を比較した.
対象は昭和32年から48年までに当院で手術されたバセドウ病患者で,一部には甲状腺腫の大きさと残置量の関係を調査し臨床診断を行い,他の患者には残置量の大きさと術後の甲状腺機能の関係を調べ,検査診断を行つた.検査による診断基準の大要は,TSHが15μU/ml以上のものを低下又は低下の疑いとしたが,TSHが15μU/ml以上でもT
3, T
4, T
3RSUが正常域のものは正常とした.
当院の手術法によれば, 残置量(yg)は甲状腺腫(xg)により決定される量で, yとxとはy=0.9√x + 3.4なる関係にあつた.
臨床診断では正常82%,低下11%,再発が7%であつた.検査診断では正常71%,低下の疑い12%,低下11%,再発7%であつた.これらの2つの診断法による結果の差は,軽い甲状腺機能低下症は臨床的に正常と診断されることを示している.成長期にある小児などでは必ず検査を行つて術後の経過を観る必要がある.
術後甲状腺機能低下症になった例と再発例の間で残置量に差はなく,当院の手術法によれば術後の甲状腺機能は残置量以外の要因に強く左右されているものと考えられる.
甲状腺機能低下症は術後経過年数と共に増加していないが,再発は増加していた.
術後の合併症は低率であるが,上皮小体機能低下症は最も重要である.
キーワード
バセドウ病手術成績, 甲状腺機能診断基準, 甲状腺残置量
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