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日外会誌. 81(5): 381-396, 1980
原著
間欠的高カロリー輸液の基礎的実験的研究
I.内容要旨Cyclic hyperalimentation(間欠的PN) はhome hyperalimentation の一法として用いられ, 従来のfat-free continuous hyperalimentation(無脂肪PN) にともなう脂肪肝・血清酵素値の上昇・必須脂酸欠乏状態などを予防する一方,無脂肪PNに比較し, 蛋白代謝上有利とするものもある.しかし, 間欠的PNはDudrick らの唱える高濃度糖, アミノ酸液の持続均一投与の原則をくずすもので, 高血糖あるいは低血糖の発来も懸念され,必須脂酸欠乏状態をどの程度予防しうるか,また,はたして蛋白代謝上有利なものかについての基礎的検討は少ない.著者は成犬に両栄蓑法を施行し,血糖,血清インスリン,血清グルカゴン,血清遊離脂酸,血清脂質,血清総脂酸構成,肝総脂酸構成,肝化学構成,肝組織および窒素平衡試験を測定し,検討を加えた.
方法:雑種成犬36頭 (8~12kg) を約一週間飼育後,(I) 24時間絶食 (対照, n=5) その他は中心静脈カテを留置し, 3日ならし後に,(II) 無脂肪PN (n=5),(Ill) 脂肪加PN (n=5),(IV)無脂肪間欠的PN (n= 10),(V) 脂肪加間欠的PN (n=10),にわけて, 10日まで持続施行した.投与カロリーは80cal/kg.日,アミノ酸は2.0g/kg.日,脂肪加群は全投与カロリーの25%を脂肪乳剤で3時間かけて投与した.
結果: (1) 無脂肪間欠的PN でも,血消インスリンと血清グルカゴンの分泌の変化により,極端な高血糖あるいは低血糖を発生しない, (2) 間欠的PNでは長期間施行に応じ,血清インスリンと血清グルカゴンの分泌の日差変動が少なくなる.すなわち一種の適応現象が生じうる. (3) 無脂肪間欠的PNでは,中止後に遊離脂酸の動員が認められるが,これによる必須脂酸欠乏状態の防止はできない. (4)脂肪加投与群では肝グリコーゲンの蓄積量は少なく,肝腫大がより少なくなることが示唆された. (5)間欠的PNは持続PNに較べて,窒素平衡上有利にはなりえない.
キーワード
高カロリー輸液, 脂肪加間欠的高カロリー輸液, 無脂肪間欠的高カロリー輸液, 必須脂酸欠乏状態, 窒素平衡試験
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