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日外会誌. 81(3): 203-213, 1980


原著

後天性心疾患におけるSwan-Ganz Catheterによる術前後の循環動態に関する研究(各種外科的疾患におけるSwan-Ganz Catheterによる術前,術後血行動態に関する研究-第5報)

福島県立医科大学 第1外科(主任:本多憲児教授)

小林 克己

(昭和54年5月7日受付)

I.内容要旨
後天性心疾患においてSwan-Ganz Catheter, Thermodilution Output Computerを用いて術前,術後,経時的に循環動態を測定,循環動態図を作成し検討した.
術前循環動態図はパターンの形態により正常型,星芒型,右突出型および左突出型に分類し, 更に各型は変化の程度によりA群, B群に分けられた.後天性心疾患においては右突出型が多くみられ,左突出型はみられなかつた.
正常型および星芒型,右突出型で変化の程度の軽い群(A群)では病悩期間は比較的短かく,NYHA III度が多く,星芒型,右突出型の変化の程度が強い群(B群)では病悩期間は長期間, NYHA IV度が多く, CTR拡大著明例が多くみられた.正常型, 星芒型ではCIは2.5 l/min/m2以上であつたが右突出型ではA群は半数, B群は全例2.5 l/min/m2以下であった. mPwPは星芒型B群,右突出型B群では他群に比し高値を示した.
術後変化は第I~第V型の5型に分類され,更にI,lI,III型は改善群,IV,V型は非改善群に分けた.
改善群の術前所見はNYHA III度,CI 2.0 l/min/m2以上,mPwP 25mmHg以下が大多数を占め,非改善群ではNYHA IV度, CI 2.0 l/min/m2以下, mPwP 25mmHg以上例が大多数であつた.改善群では全例術後1年CTR減少をみた.非改善群では大多数CTR減少をみたが少数例では却つて増大した.CTR 増大例はXenograftによるMVR例でPwP波形は狭窄ないし閉鎖不全パターンを呈した症例であった.

キーワード
Swan-Ganz Catheter, 循環動態図, 後天性心疾患

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