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日外会誌. 81(1): 15-24, 1980
原著
食道a0癌の臨床病理学的検討
I.内容要旨食道癌においても,早期発見,早期治療がその治療成績の向上に重要な問題となつている.そこで比較的早期の食道癌としてa
0癌を選び,その臨床病理像を検討した.昭和44年より51年まで慶大外科において切除されたa
0癌, 34例を対象とし,性,年齢,占居部位,長径,深達度係数,肉眼的病型分類,悪性随伴病変,組織型,脈管侵襲,組織学的治療効果などの臨床病理所見と癌の深達度,リンパ節転移,予後との関連を検索した.結論1) 早期食道癌は5例3.3%, R-早期癌2例1.3%,表在癌はR-表在癌も含め6例3.9%であつた. 2) 若年者程,リンパ節転移が多く,予後不良であつた. 3) 腫瘍長径が大きい程,肉眼型では潰瘍型が,辺縁の性状では境界不明瞭型が,随伴病変では粘膜下浸潤を有するものが,深達度も深く,リンパ節転移が多く,予後不良であった. 3) 脈管侵襲の高度なもの,組織学的治療効果無効群の予後が不良であった. 4) a
0癌に対する術前合併治療(特に局所照射)はリンパ節転移を増長し,予後をわるくする可能性がある.従つて,術前に癌の深達度を予測することが必要で,これに対し深達度係数は有用であろうと考える.5) a
0癌で姑息切除となつたのは4例12.0%で,その原因の最も多くは断端遺残であり,肺転移,胸膜播種もわずかにみられた.6) 累績5生率は35%,直死率は8.8%であるが,全死亡例の約半数が他病死であつた.
キーワード
食道癌, 早期癌, 表在癌, a0癌, 病型分類
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