日外会誌. 126(6): 574-580, 2025
手術のtips and pitfalls
低侵襲アプローチによる肺区域切除におけるtips and pitfalls
肺区域切除に対する単孔式手術と単孔式ロボット手術の実際
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藤田医科大学岡崎医療センター 呼吸器外科 須田 隆 |
キーワード
単孔式手術, ロボット, VATS, RATS, Uniportal
I.はじめに
呼吸器外科手術の問題点の一つは肋間を経由した手術は10~25%に術後慢性痛を生じることである.2011年にDiego Gonzalez Rivasらによって開始された4cm以下の一つの創からすべての手技を行う単孔式手術1)は,術後慢性痛の発生率を減らすことが期待できる.単孔式手術の欠点は手術操作の制限から吻合操作など複雑な手技が困難なことである.ロボット手術は,低侵襲なままより高度で精密な手術を可能にする.しかしながらロボット手術は従来の人間の手で行う胸腔鏡手術(VATS)より5か所という多数のポート挿入を必要とし,より広範な疼痛や慢性痛が生じる可能性が指摘されている.2022年よりわれわれは,4cm以下の一つの創から三つのロボットアームを挿入して行うda Vinci Xiを使用した単孔式ロボット手術(URATS)2)を開始した.本稿では単孔式および単孔式ロボット支援下区域切除の工夫とコツを紹介する.
II.区域切除を単孔式で行うためのコツ
区域切除手術手技が肺葉切除と異なる点は1)剥離して露出する構造物(肺血管,気管支など)が肺葉切除より細く小さくなること,2)ステープラーを通しにくくなること,3)葉間よりも区域間が立体的で複雑になることから切離面の同定と正しい区域間での切離が難しくなることが挙げられる.単孔式手術では,剥離・切離する組織に適切なテンションをかけること,組織を切離する際は,剥離鉗子やエネルギーデバイスによる剥離操作で血管など重要臓器から切離する組織を離して剥離した部分のみを切離すること,血管や気管支を切離するときは肺を剥離・切離しやすい方向に移動させて(Move the ground)術野展開を行うことが大切である.スコピストは斜視鏡をうまく使用して術者の手に干渉せずに良い視野を見せるように操作することが安全に手術を行うコツである.
III.Da Vinci Xiを使用した単孔式ロボット支援下肺区域切除術
URATSは,単孔式手術専用のシステムを購入しなくても単孔式でロボット手術を行うことができる方法である.3Dの視野でより精密な操作ができるロボットシステムは立体的な区域間の同定が必要な区域切除に有用である.アーム間の干渉が問題になるが,干渉の少ない視野軸を探しながら手術を行う.URATSは左手の鉗子で組織を把持して手術を行うことが可能となるためより複雑な手技も可能になる.
IV.まとめ
単孔式および単孔式ロボット支援手術は,患者にわかりやすい利益があり,修練,工夫により複雑な区域手術も十分可能な手技である.
利益相反
講演料など:オリンパス株式会社,アストラゼネカ株式会社







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