日外会誌. 126(5): 486-490, 2025
手術のtips and pitfalls
ロボット支援膵頭十二指腸切除術における膵再建のtips and pitfalls
ロボット支援膵頭十二指腸切除術における膵空腸吻合
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富山大学 学術研究部医学系消化器・腫瘍・総合外科 渋谷 和人 , 藤井 努 |
キーワード
膵頭十二指腸切除術, 膵空腸吻合, Blumgart変法, ロボット手術, 低侵襲手術
I.はじめに
2020年に保険適用となったロボット支援下膵頭十二指腸切除術(RPD)はロボットの特性を活かした手技によりハイボリュームセンターで全国的に導入が進んでおり,手技の標準化および安定化に向けてさらなる発展が期待される.当教室で施行しているRPDにおける膵空腸吻合の手順や工夫について概説する.
II.Blumgart変法
共著者の藤井は,開腹膵頭十二指腸切除術(PD)の膵空腸吻合においてBlumgartらにより報告された水平マットレス式縫合法を独自に改良したBlumgart変法の良好な成績を報告した1).原法に比べて,密着縫合の運針を簡便にして空腸漿膜上で結紮することで膵実質損傷のリスクを減らし,かつ空腸壁が面で膵断端に密着するため膵液の漏出をより減少させることができるのが特徴である.
III.RPDにおけるBlumgart変法による膵空腸吻合
ロボット支援下での膵空腸吻合はいまだ標準的な方法が確立されていないが,RPDにおけるBlumgart変法による膵空腸吻合の良好な成績はいくつか報告されている2)
3).当教室では,RPDを開腹PDと同様の手技で行うことを方針としており,RPDにおける膵空腸吻合もBlumgart変法を採用している.ポート配置は図1の如くで,2番ポートをカメラ,4番ポートをリトラクションアームとし,1番にlong bipolar,3番にneedle driverを配置して吻合を行う.膵空腸密着は4-0 Polyvinylidene fluoride非吸収糸(弱々々彎の両端針,30cmのもの)を用い,通常1~3針で行うが,1針は必ず主膵管をまたぐように行う.膵管-粘膜吻合は,5-0 Polydioxanone吸収糸(糸の長さは6cm)で行い,8針の結節縫合を基本としている.注意点として,ロボットは触覚がないため結紮の強さを実感できないが,カメラ画像をしっかりとみることで締めすぎる一歩手前で結紮を終えることが重要である.膵空腸吻合背側に留置するドレーンは,膵空腸密着の糸をかけた直後が留置しやすい.また,膵管チューブを留置する場合は外瘻としている.留置した膵管チューブは,膵管-粘膜吻合の6時の糸で固定する(この糸のみ8cmとしている).後の抜去の際に抵抗がないように,チューブの腸管出口の腸管壁への縫合固定はしていない.RPDでは腸管の腹壁への固定も行わず,チューブは直接腹壁を貫通させて皮膚に固定するのみとしている.Witzelをしっかり作成することで腸液の漏出は起こらない.

IV.まとめ
RPDにおける膵空腸吻合も開腹と同様の手技で可能であり,ロボットならではのモーションスケール・手ぶれ防止などの機能,固定されたカメラワークと美麗な3D画像により,より精密な膵空腸吻合が可能である.
利益相反:なし







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