日外会誌. 126(5): 485, 2025
手術のtips and pitfalls
ロボット支援膵頭十二指腸切除術における膵再建の tips and pitfalls
「ロボット支援膵頭十二指腸切除術における膵再建の tips and pitfalls」によせて
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東京医科大学 消化器・小児外科学分野 刑部 弘哲 |
ロボット支援膵頭十二指腸切除術(RPD: Robot-Assisted Pancreaticoduodenectomy)は,2020年4月に保険適用となり,ハイボリュームセンターを中心に導入が進んでいます.一方で,膵頭十二指腸切除術自体は依然として高難度手術であり,術後合併症の発生率が高いことが課題となっております.特に膵液瘻は最も重要な合併症の一つとされています.膵液瘻の発生は,腹腔内出血や腹腔内膿瘍といった重篤な合併症を引き起こし,場合によっては手術関連死亡にもつながるリスクがあり膵再建の手技は極めて重要な位置づけとなっています.ロボット支援手術は,従来の腹腔鏡手術と比較して,3D高解像度画像,手ぶれ補正機能,多関節を有する精密な鉗子操作が可能となっております.これらの技術的利点により,膵管吻合においても正確で安定した縫合が可能となり膵液瘻の発生を低減させる可能性が報告されています.このような背景のもと,RPDの普及とともに,各施設では膵再建手技に対してさまざまな工夫が加えられており,安全性と再現性の高い吻合法の確立が求められています.膵再建においては,膵胃吻合術および膵空腸吻合術が代表的な手法として知られており,それぞれの施設の経験に基づいて選択・改良が行われています.
本企画では,ロボット手術における膵再建に焦点を当て,ハイボリュームセンターの実践的なアプローチや工夫をご紹介いただくことを目的としております.今回は,代表的な吻合法である膵空腸吻合と膵胃吻合の双方について,経験豊富な執筆者の先生方にご解説いただきました.本特集が,日常診療における一助となり,先生方のロボット手術における膵再建の質の向上に寄与できれば幸いです.
利益相反:なし
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