日外会誌. 126(4): 399-403, 2025
手術のtips and pitfalls
Non-occlusive mesenteric ischemiaの手術戦略のtips and pitfalls
Open abdomen managementの適応と実践およびsecond-look surgery
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松戸市立総合医療センター 救命救急センター 八木 雅幸 , 増田 太郎 |
キーワード
Open abdomen management, Vacuum packing closure, Second-look surgery
I.はじめに
非閉塞性腸間膜虚血(non-occlusive mesenteric ischemia;NOMI)は,進行性に壊死が生じうることや,虚血が不可逆的なものかどうかの判断が難しいことから,初回手術で適切な切除範囲を決定することが難しい.その場合,初回手術では腹壁を閉じずにOpen Abdomen Management(OAM)とし,Second-look surgeryで再評価を行うことが考慮される.もともとOAMは,1990年代に重症外傷治療において行われたダメージコントロール戦略のための手技であるが,近年は内因性疾患に対しても用いられるようになった.本稿では,NOMIにおけるOAMに関して,その意思決定や術式,管理の実際について述べる.
II.OAMの決定
明確な基準は存在しないため1),施設の方針によるところが大きい.循環動態が悪く虚血範囲拡大のリスクが高いと考えられる場合や,残存腸管が短く,できるだけ不必要な切除を避ける,あるいは,全身状態が改善後に吻合を行うなどの理由で行われることが多い.
一方で,OAMが縫合不全および腸管皮膚瘻,腹腔内膿瘍等のリスクとなることから2),不必要なSecond-look surgeryは避けるべきともされている.
III.OAMの方法
Towel clip closure,Silo closure(Bogota bag),Vacuum packing closure(VPC)等が行われてきた.VPCは浸出液のコントロールが良好で,腹壁の退縮を軽減でき,腸管と腹膜の癒着を回避できるなどの理由で優れている.最近では,創傷治癒に使用されてきたvacuum-assisted wound closure(VAC)の技術を応用したキット化製品(ABTheraTM,RENASYS AB Abdominal Dressing KitTM)が,同様の目的を達成でき,主流となっている.Silo closureは腹腔内が透見できる利点があるが,VPCやVACでも手術用タオルやスポンジ素材の配置を創縁に限定することで,同様の効果を得ることができる3).
IV.集中治療管理の実際
輸液量には細心の注意が必要である.腸管虚血に配慮し,十分な輸液の上でカテコラミンは終了あるいは減量したいところであるが,過剰輸液は腸管や腹腔内臓器の浮腫を増悪させ筋膜閉鎖を困難とさせる.残存腸管の浮腫が強く腹圧の上昇が懸念されるときには,膀胱内圧測定を定期的に行う.乳酸アシドーシスの悪化などで,残存腸管の壊死が疑われる場合には,計画されたタイミングを待たずに緊急再手術としてのSecond look surgeryに踏み切る.
V.Second-look surgeryの注意点
計画的再手術として行う場合は感染の問題から初回手術から24〜48時間とされている.虚血範囲を評価し,追加切除を行う.判断が難しい場合などでThird-look以降の手術を念頭に複数回OAMとする場合もあるが,腹壁の退縮により通常の筋膜閉鎖が難しくなる可能性が高くなる.
VI.まとめ
OAMの手法自体は簡易であるが,合併症のリスクがあるという認識が必要である.目的を明確化し,早期の閉腹に向けた,適切な集中治療管理とsecond-look surgeryの計画が重要である.
利益相反:なし







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