日外会誌. 126(4): 371, 2025
会員のための企画
「外科医とAI」によせて
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昭和医科大学 医学部外科学講座消化器・一般外科学部門 田代 良彦 |
現在,さまざまな分野で人工知能(AI)開発とその社会実装が進められており,医療分野も例外ではない.内視鏡診断や病理診断,放射線画像診断をはじめとして,AIが搭載された医療機器が実臨床で使用され始めており,現在の医療分野が抱える問題解決になることが期待され,外科領域も例外ではありません.
これまで外科医療は,内視鏡手術やロボット支援手術の登場により,外科医の「目」や「手」を支援する技術が進化を遂げてきましたが,更に外科医療の安全性を高めるためには,外科医の「認識」「判断」の領域に対するサポートが必要であり,AIがその役割を担うことが期待されてきました.そして,2024年4月に国内で初めてAI技術を用いて外科医の視覚認識をリアルタイムに支援する医療機器が薬事承認され,同年7月には国内で初めてAI支援下手術が実現しました.
本企画では,手術におけるAI技術について,兵庫医科大学上部消化管外科の篠原尚先生に「外科医とAI」というタイトルでご執筆いただきました.篠原先生は,外科を志す研修医や若手外科医の必読書・定本となった「イラストレイテッド外科手術」の著者であり,その正確な局所解剖の知識に基づいた精緻な手術は高く評価されております.さらに,先述した国内初のAI支援下手術を実施された実績を持ち,研究分野においても「コンピュータビジョンを用いた外科医の意思決定支援システムの実用化に向けた開発研究」というAI関連のテーマで科学研究費補助金を獲得されているなど,AI開発にも積極的に取り組まれております.篠原先生には,現在の外科領域におけるAIの現状と,外科医とAIの将来像についてご執筆して頂きました.本企画が,会員の皆様にAIがもたらす未来の外科のビジョンをより具体的に感じられる機会になれることを願っております.
利益相反:なし
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