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日外会誌. 126(4): 325, 2025

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特集

移行期医療を考える.現場からの提言

1.特集によせて

順天堂大学医学部附属浦安病院 小児外科

田中 奈々



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近年の小児医療の進歩により,より多くの慢性疾患を持つ子供たちが成人期を迎えることができるようになり,小児医療と成人医療の両システムに課題を投じている.日本における移行期医療は,2013年の日本小児科学会による提言を契機に注目されるようになり,2015年には厚生労働省が支援モデル事業を開始,2017年には都道府県ごとの支援体制の構築が求められた.これを受け,複数の医療施設で移行期医療支援センターが設立された.日本小児科学会が2022年に新たに発表した提言では,これまで移行期医療が「医療」のあり方を中心に議論されていた背景を受け,「医療」だけでなく健康・福祉という広い視点から提供される「支援」の必要性を強調する「成人移行支援」という概念が提案された.
こうした取り組みが進展している一方で,依然として十分とは言い難く,実際の臨床現場においては,小児期に手術を受けた外科患者に対する移行期医療が円滑に行われていないケースが多く見受けられるのが現状である.システム構築や,患者自身の意識と教育の充実はもちろんのこと,小児医療従事者側の意識改革も不可欠である.ときに,われわれの患者や患者家族に対する過保護とも取れるような対応,いわば「子離れできない親」のような姿勢が,結果として患者の自立を妨げ,成人後の医療的・社会的適応に悪影響を及ぼすことがあることを,自覚すべきである.本特集では,成人移行支援を必要とする代表的な小児外科疾患と,他領域よりも移行期医療が進んでいる先天性心疾患にフォーカスし,各疾患のスペシャリストの先生方による現場の生の声を会員の皆様にお届けしたい.患者や患者家族にとってはもちろん,われわれ医療者にとってもよりよい未来を考えるきっかけとなれば幸いである.

 
利益相反:なし

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