日外会誌. 126(4): 317-318, 2025
Editorial
高難度新規医療技術管理,8年間の振り返り
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藤田医科大学 医学部呼吸器外科学 星川 康 |
これまで一貫して先進医療に取り組んできた藤田医科大学病院において,2017年3月~2025年3月の8年間高難度新規医療技術管理室長を担当した.病院長の指導の元,試行錯誤を繰り返し取り組んできた当院の高難度新規医療技術管理について要点を抜粋し振り返ってみたい.
高難度新規医療技術管理は,特定機能病院等における高難度手術導入後に重大な事案が相次いで発生したことを受け,厚生労働省により医療法施行規則に基づき2016年にその基準が告示された.これを適正に運用することが特定機能病院の要件とされる.高難度新規医療技術とは「当該病院で実施したことのない医療技術で,その実施により患者の死亡その他重大な影響が想定されるもの」と定義される.「高難度」の具体的な該当例は,外保連試案技術難易度E,またはDの中で特に難易度の高いもの,さらに外保連試案未掲載または保険未収載の技術のうち高難易度で実施経験のないものも含まれる.
当初当院では,厚生労働省の基準に従い各科に提出を求める申請書様式を作成し,当該技術提供の適否を検討する評価委員会業務を臨床倫理委員会に付託するシステムとした.その後,申請書類に11の検討項目(新規性の理由,高難度の該当性,当該技術の実現性,実施計画,バックアッププラン,エビデンス,ケースの特異性,患者からみたニーズ,説明同意文書,新規に取り組む意義,モニタリング)の記載を求め,室員2名が11検討項目を含む申請書記載事項を確認しながら評価シートを作成することとした.11項目のうち特にバックアッププランは,患者が危機的状況に陥る前にチーム内での短時間の協議(ハドル)を設定すること,すなわち当該技術開始からどれくらい時間が経過したら,あるいはどの程度出血したら,一度全員で手を止めて再度タイムアウトをするか?その手技を継続するのか,次の手段に移行するのか?次の手段として何をするのか?を緻密に設定することを最重要事項とした.
書類審査の後,申請書と評価シート,説明同意文書をもって当該技術提供の適否等の審議を評価委員会に依頼する.評価委員会は,その後,医療安全担当副院長を委員長とし,審査担当室員2名を含む関連職員を,その都度招集し開催する規定とした.委員会と管理室の独立性担保のため,室員は提供の適否の議決には参加しないルールとした.
技術提供の際は,実施7日前までと実施後の報告を各科に義務付けたが,より積極的な実施把握とモニタリングの必要性を認識し,医事課と連携し手術入力から当該技術提供を事前把握するシステムを構築した.技術提供時には,モニタリング何例目かと再タイムアウトのタイミングを手術室に掲示した.事後報告状況を月例教授会で提示の上各科に配布し,実施状況の把握と報告を促した.事後の報告に基づき審査を担当した室員2名がカルテを確認し,状況を室長→病院長に報告した.月1回の管理室会議でシステムを評価し見直すことを継続している.業務をより円滑に行うために,当初医師2,事務員1であった管理室員を,段階的に医師13,手術室看護師1,事務員2,計16名に増員し,現場での適正な運用を推進している.
8年間の総申請件数は91件に達した.この管理システムの構築のためご指導ご支援くださった皆様に深謝申し上げたい.
利益相反:なし
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