日外会誌. 126(3): 312-315, 2025
印象記
2024 Japan Exchange FellowとしてAmerican College of Surgeons Clinical Congress 2024に参加して
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東海大学医学部 外科学系消化器外科学 庄司 佳晃 |
I.はじめに
この度日本外科学会から2024 Japan Exchange Fellowに選出して頂き,American College of Surgeon (ACS) Clinical Congress 2024に参加する大変貴重な機会を戴きました.ここに感謝の意を込めて謹んで印象記を執筆させて戴きます.
II.第110回ACS Clinical Congress 2024
第110回ACS Clinical Congressは2024年10月19日から22日までの4日間,米国カリフォルニア州サンフランシスコにありますMoscone Center,およびHilton San Francisco Union Squareで開催されました.コロナ禍,物価高騰の影響を受けサンフランシスコの治安悪化が懸念されておりましたが,学会は全く問題なく運営されておりました.9万人を超える会員数,6万人を超えるFellowを誇る外科系最大の学会の一つであるACSのannual congressということもあり,会場はどこも聴講者で溢れ,非常に活気がありました.Clinical Congressを通して女性外科医の演者,参加者が多いことが非常に印象的で,女性外科医が増え,また,男女共に当たり前に学会に参加できる環境作りを進めることが本邦の外科学の発展には必須であることを感じました.スケジュールが空いている時間には自分の専門領域である上部消化管疾患のセッションを中心に聴講致しました.Bariatric Surgery やObese Patientsに対する治療のセッションが多くあり,日本との違いを感じるとともに,どのセッションでも活発に議論がなされており,非常にactiveな学会に参加する貴重な機会をいただけたことを実感致しました.
初日は Fellow of ACS(FACS)の表彰式であるConvocation Ceremonyにguestとして参加させて戴きました.大変厳かな雰囲気の中Ceremonyは進行し,世界中から1,874名の先生方が新たなFellowとして表彰されました.大阪大学医学部医学系研究科外科学講座消化器外科学 教授 土岐祐一郎先生が世界を代表する外科医の1人としてHonorary FACS Fellowshipを受賞される姿を拝見し,ますますFACSに対する憧れも強くなりました.FACSとしてConvocation Ceremonyに参加することを目標の一つに,今後も臨床,研究共に研鑽を重ねて参りたいと思います.
2日目は早朝から他のInternational Exchange FellowやACS Award RecipientsらとともにACS Clinical Congress 2024 Opening Ceremonyに壇上で参加させて頂きました.Convocation Ceremony同様に厳荘な雰囲気のCeremonyであり,スクリーンで名前を表示して表彰して頂き,大変光栄でした.様々なレクチャーがある中で米国におけるMilitary medicineやTrauma Surgeryの重要性などを理解し,本邦との違いも改めて確認することが出来ました.
昼はPhilanthropy and Scholarship Luncheonに参加させて頂きました.私は今回日本外科学会の支援によりACS Clinical Congressに参加することが出来ましたが,ACSでは個人からの寄附金も多く,そのようなdonorの支援により多くのscholarが学会に参加しております.このように定期的にface to faceでdonorとscholarを結びつける会を実施して,若手医師の活動がこのような篤志家のサポートによって支えられているということを認識し,学会として,また一scholarとしてdonorに感謝の意を伝えることは重要であると感じました.また,この会にはdonorでもあるFACSの先生方も参加しており,診療科は違えど米国と本邦の教育・医療システムの違いなどを話し合うことができ,有意義な会となりました.
夜は「International Reception」および「ACS Japan Chapter Networking Event」に参加させて頂きました.Japan Chapterには日本からACS に参加されている先生や,今年FACSになられた多くの先生が参加されており,盛会となりました(図1).様々な診療科の先生が日本からFACSになられており,価値のある交流ができたと感じております.私自身もFACSになれました際には少しでもACS Japan Chapterの更なる発展に貢献できればと考えております.
3日目は各国からのInternational Exchange Fellowが集まる「The ACS International Scholars &Travelers 2024 Session」に演者として参加させて頂きました(図2).本sessionではProf. Nader Hanna/Prof. Christy Y. ChaiがModeratorとなり,世界各国から集まった17名のexchange fellowが自国の環境や医療状況,外科教育,様々な疾患に対する自国の試み,また,ACS Clinical Congress 2024のInternational scholarとして選ばれた経緯などについて発表されていました.私は自分が専門としております上部消化管悪性腫瘍に関して,本邦における治療開発や当院における新たな取り組みなどについて発表させて頂きました.お忙しい中,森正樹先生にはわざわざ発表を聞きにきて戴き,心より感謝申し上げます.各exchange fellowの発表内容は発展途上国における外傷外科や救急外科の役割から,独自の手術支援ロボットの開発に至るまで多岐にわたり,興味をひくセッションが多数ありました.様々な環境・医療状況の各国からscholarshipを獲得しACSに参加された若手外科医と交流を深め,議論する大変貴重な機会を頂きました.
夜には森正樹先生にお取り計らい戴き,The Board of Governors Dinnerに参加させて戴きました.各国を代表する外科医が一堂に会し盛大に行われており,貴重な経験をさせて戴きましたことを心より感謝申し上げます.また,会の途中ではAcademic Global Surgeon Award,Surgical Humanitarian Award,Surgical Volunteerism Awardなどの表彰があり,手術のみならず様々な活動をしている個人が多くの人々にその活動を認識される重要な機会であると感じました.


III.その他
治安悪化やデモ活動の影響もあり出かけられる場所は限られておりましたが,空き時間にサンフランシスコ市内を拝見しました.中でも印象に残ったのは自動運転技術です.世界初の自動運転タクシーであるWaymo One(図3)は今やサンフランシスコ市内であれば誰もが利用することができ,多くの車両を見かけました.自分も実際に乗車致しましたが時間通りに目的地に到着することができ,また,料金も他の配車サービスと同等・時間帯によってはそれ以下で,同乗者もいないことから非常に快適でした.安全性などまだ解決すべき問題も一部ある様ですが,ドライバー不足や渋滞などの問題を解決できる可能性がある有用な手段で,今後ますます自動運転技術は世界中に広がるであろうと確信致しました.現在は米国カリフォルニア州ロサンゼルス市内でも誰もが利用できる様になりましたので,機会があれば皆様にも是非一度体験して戴ければと思います.

IV.おわりに
このような名誉ある大変貴重な機会を与えて戴きました日本外科学会理事長 武冨紹信先生,国際委員会 湊谷謙司先生をはじめとする日本外科学会の先生方,ACS Clinical Congress 2024参加に関しましてご尽力戴きました日本外科学会事務局の方々,International Exchange FellowとしてClinical Congressに参加する上での様々なご準備をして下さったACS 担当秘書のMr. Christopher MacKoul MPH,現地でご一緒する機会も戴きました森正樹先生,土岐祐一郎先生にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます.また,Japan Exchange Fellow応募の際にご推薦を賜りました東海大学医学部外科学系消化器外科学 主任教授 小柳和夫先生,同前教授 中郡聡夫先生,そして不在の間ご迷惑をおかけした東海大学医学部外科学系消化器外科学のメンバーにも感謝申し上げます.今回の貴重な経験を生かし,国際交流を深め,今後の日本外科学会の発展に尽力させていただければと存じます.
利益相反:なし
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