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日外会誌. 126(3): 308-311, 2025

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手術のtips and pitfalls

先天性横隔膜ヘルニアに対する胸腔鏡手術のtips and pitfalls

先天性横隔膜ヘルニアに対する胸腔鏡手術:直接縫合を行う場合の手術手技

医学研究所北野病院 小児外科

福澤 宏明



キーワード
先天性, 横隔膜ヘルニア, 胸腔鏡, 直接縫合, 新生児

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I.はじめに
新生児期先天性横隔膜ヘルニア(以下,CDH)に対する胸腔鏡下CDH根治術は国内でも多くの施設で施行され,その成績も報告されている.同術式は,開腹手術に比べ整容性に関しては明らかに優れている.今回,欠損孔の比較的小さな症例に対する直接縫合閉鎖について術式を中心に述べる.

II.胸腔鏡手術の適応
呼吸・循環状態の安定している患者を胸腔鏡手術の適応としている.大きく肝臓の脱出している症例は欠損部が大きいことが予想され,再発のリスクを考慮して今のところ適応外としている.

III.体位・ポート配置
体位は半側臥位とし,手術台のローテーションで仰臥位から側臥位まで手術の状況に合わせて調節している.また体外での操作鉗子の可動域を多くとるため,患者は手術台の腹側縁に寄って固定し,術者もカメラ助手も患者の腹側に立ち,モニターは患者の背側に配置させる.
カメラポートは左の乳頭のやや外側(前腋窩線),右手の操作ポートは,カメラポートの尾側(前腋窩線上)で欠損孔にアプローチするのに最適な位置,左手の操作ポートはカメラポートの外側(中腋窩線)に挿入する.ポートは全体的に体の前に寄せるように配置することで後背側にある欠損孔へのアプローチを容易にしている.

IV.手術操作
1)臓器の還納:はじめ体位を仰臥位とし,欠損孔を下にしCO2の圧と鉗子操作で還納していく.しかし,ある程度臓器が腹腔内に戻ると腹腔内に戻した臓器が,再度胸腔内に流れ込んで操作が行き詰まってくる.その時はベッドをローテーションして側臥位とし欠損部を高い位置に持ってくる.そうすることで内側に存在する横隔膜が峰となり,腹腔内に還納した臓器が胸腔側に戻ってくることを防止することができる.
2)欠損孔背側の剥離:欠損孔の後縁に存在する横隔膜から胃・結腸を剥離し縫い代を確保する.われわれは電気メスをつないだ腹腔鏡用の剪刀を用いて行っている.
3)横隔膜の縫合:縫合はプレジェット付き3-0非吸収糸を用いて水平マットレスで内側から行っている.欠損部の最外側(肋骨に近い位置)は横隔膜の形成が弱いこともあり縫合閉鎖が困難になることが多い.われわれは最外側の横隔膜にかけた糸をラパヘルクロージャーで肋骨を跨ぐ様に体外に誘導し閉鎖するようにしている.

V.まとめ
CDHに対する胸腔鏡手術は,開腹に比べ整容面で圧倒的に有利であり,症例を適切に選べば満足度は高い.

 
利益相反:なし

図1 図2 図3 図4 図5 図6

図01図02図03図04図05図06

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