日外会誌. 126(3): 296-301, 2025
手術のtips and pitfalls
ロボット支援下胸腔鏡下手術における肺動脈・気管支形成術のtips and pitfalls
ロボット支援下気管支形成術
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順天堂大学 呼吸器外科 内田 真介 , 鈴木 健司 |
キーワード
ロボット支援下手術, 気管支形成術, 低侵襲手術
I.はじめに
気管支浸潤を伴う病変に対し肺全摘を回避する上で気管支形成術は必要不可欠な術式である.気管支形成術は従来開胸術で施行されてきたが,手術器具の発展に伴い,胸腔鏡そしてロボット支援下でのアプローチがなされてきている1).一方でロボット支援下気管支形成術の工夫や注意点については未だ報告が少ない.本稿ではポート配置,使用するインストゥルメント,縫合方法等に関し焦点を当て気管支形成を伴う左肺舌区・下葉切除術を報告する.
II.ロボット支援下気管支形成術のポート配置および使用インストゥルメント
ポート配置:左腕を挙上した右側臥位.da-Vinci Xi (Intuitive Surgical社,Sunnyvale)を使用.1st arm (8-mm,Left hand: Cadiere forceps)– 第6肋間前腋窩線腹側,2nd arm (8-mm,0 degree camera)– 第8肋間中腋窩線上,3rd arm (8-mm,Right hand: Permanent cautery spatula)–第9肋間後腋窩線上,4th arm (8-mm,Retract arm: Fenestrated bipolar forceps)–第7肋間傍椎体,腹側アシスト (12-mm,Access port)– 第8肋間前腋窩線上,背側アシスト (12-mm,Air seal access port)– 第10肋間後腋窩線上.
III.手術手技
われわれは術野の固定に際しリトラクトアームを用いている.特に気管支形成術においては,気管支にかけた牽引糸を把持することで固定された良好な術野を得ることが出来る.
IV.気管支形成術の利点,注意点および考察
ロボット支援下手術における利点は先に述べた術野固定,三次元拡大視野,巧緻性が挙げられる.一方で触覚の欠如による力感のコントロールが課題である.ゆえに気管支形成術において縫合は容易いが,結紮が難儀である.われわれは結紮の回数を減らすため胸腔外で予め作成した両端針を用い連続縫合を行っている.ロボット支援下気管支形成術では開胸や胸腔鏡に比較し,短い手術時間,少ない出血量,在院日数の短縮,同等の腫瘍学的予後が得られたと報告されており,ロボット支援下気管支形成術は今後増加すると考えられる1).当科ではロボット支援下胸壁合併切除術2)やロボット支援下肺動脈形成術3)など拡大手術を実践している.ポート配置や手術手順を工夫することで,精密な操作だけでなく,術後疼痛や整容性の観点から有用になり得る.低侵襲性を追求していく上で手術支援ロボットを使用したアプローチ方法や手術方法を確立していくことが求められており,施設間で手技の工夫を共有していくことが肝要である.
V.まとめ
ロボット支援下気管支形成術は,ロボット手術の特性を活かし固定された三次元拡大視野,巧緻性により精密な手術が可能である.一方で触覚の欠如による力感のコントロールが課題であり,さらなる症例の蓄積が望まれる.
利益相反:なし








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