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日外会誌. 126(3): 293-295, 2025

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手術のtips and pitfalls

ロボット支援下胸腔鏡下手術における肺動脈・気管支形成術のtips and pitfalls

ロボット支援下肺動脈形成術

岡山大学学術研究院医歯薬学域 呼吸器・乳腺内分泌外科学

岡﨑 幹生



キーワード
ロボット支援下手術, 肺動脈形成, 肺切除

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I.はじめに
2018年にロボット支援下呼吸器外科手術(RATS)が保険収載され,その後多くの施設で実施されるようになった.その適応は拡大し,肺動脈・気管支形成にも応用されるようになり1) 2),当院でも導入している.本稿では,当院におけるRATS肺動脈形成の手技を提示する.

II.ポート配置
当院では,DaVinci Xi®(Intuitive Surgical)を使用している.肺葉切除の際,ロボットポートは最も腹側に12mmポートを使用し,残りは8mmポートを使用する.基本的には,すべて同一肋間(第7または第8肋間)にポートを配置する(図1).通常の肺切除の際はエアシール®ポート(CONMED)をロボットポートより2肋間尾側に配置するが,肺動脈の遮断が必要な症例では,第4肋間に3cmのアシストウインドウを作り,アルノート®ラップシングル(アルフレッサ)を装着し,人工気胸を用いる.

図01

III.肺動脈の遮断
小さな創から開胸で使用する血管遮断鉗子を用いることは困難であり,血管の太さに応じてターニケットまたは内視鏡手術用のクリップを用いる.図2では左主肺動脈を3mmの真田紐でテーピングし,ターニケットで遮断した.A1+2, A3, A4+5も同様に一括で遮断した.A1+2cはスキャンラン®血管クリップをProGrasp フォーセプスで把持し,遮断した(図2B).その他にも,用手的にアプライヤーを用いる血管クリップも使用可能である.本症例のシェーマを図2Cに示す.

図02

IV.肺動脈欠損部の縫合
糸は5-0のモノフィラメントを使用している.糸が長すぎると取り回しが困難なため,欠損部の大きさによって15~25cmくらいにしておく.縫合はニードルドライバで行うことが一般的であるが,肺動脈壁は柔らかいためロングバイポーラなどでも運針が可能である.縫合線の片端を結紮し,結紮した一方の糸を3rdアームで把持し,他の2本のアームを用いて連続縫合していく(図3A(図2と同症例)).適宜ロボットアームで糸を締めれば,助手の糸裁きは必要ない.反対側の端まで縫合した後,同部位にもう1本糸を結紮し,連続縫合した糸と結紮する.

図03図02

V.肺動脈端々吻合
まず図4Aのように両端針の糸を短く切り,それぞれを結紮し,20~30cmの短い両端針の糸を準備する.吻合は,最深部の肺動脈壁の外にノットが来るように開始する.ノットがあるため,ロボットアームで1針毎に糸にテンションをかけながら吻合を進めることが可能で,助手の糸裁きは不要である.一方の糸で1/3周ほど吻合した後,反対側の糸で吻合していく(図4B).両側から適宜吻合を進め,最後に両方の糸を結紮して,吻合が完了する.

図04

VI.結論
RATS肺動脈形成では,開胸時の糸裁きのような助手のサポートを得ることが困難だが,糸の調整や手技の工夫によって実現可能となる.

 
利益相反:なし

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文献
1) Qiu T , Zhao Y , Xuan Y , et al.:Robotic-assisted double-sleeve lobectomy. J Thorac Dis, 9:E21-E25, 2017.
2) Pan X , Gu C , Yang J , et al.:Robotic double-sleeve resection of lung cancer: technical aspects. Eur J Cardiothorac Surg, 54:183-184, 2017.

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