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日外会誌. 126(3): 225, 2025

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Editorial

生成AIを活用した医学論文の未来

熊本大学 心臓血管外科

福井 寿啓



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近年,AI(人工知能)はさまざまな分野で革新的な変化をもたらしている.医学研究においてもその影響は顕著であり,特に医学論文の作成や情報整理における新たなアプローチが模索されている.AIを用いた医学論文の作成は,研究者に新たなツールを提供し,研究の質や効率を高める可能性があると考えられている.しかし,その一方で,倫理的な問題や質の担保,著作権など,解決すべき課題も多く存在する.
まず,AIは大量のデータを処理し,パターンを見出す能力に優れており,研究者は最新の文献や研究成果を迅速に分析し,関連性の高い情報を抽出することができると考えられている.これがより深い洞察をもたらし,新しい仮説の生成や実験デザインの改善に繋がると期待されている.さらに,これにより,AIを用いた自動化された文書作成ツールは,文章の構造や文法を整えることができ,研究者が本来の研究に集中することが可能となるため,働き方改革に沿った時間の使い方が期待される.
しかし,生成AIによる論文作成には注意が必要である.自動生成された内容が必ずしも正確であるとは限らず,データのバイアスや誤解を招く可能性が高い.研究者は,AIが生成した情報を批判的に評価し,自らの専門知識と経験を基に内容を確認する必要がある.また,AIの利用に関する倫理的なガイドラインも整備されていく必要があると考えられている.特に,著作権や知的財産権の問題は,研究の透明性や再現性に影響を及ぼすため,早急に議論されるべき課題である.
さらに,AIの導入は研究の公平性にも影響を与えかねない.先進的な技術へのアクセスが限られる地域や研究機関では,AIを活用した研究が進まない可能性があり,研究の格差を広げる要因となるかもしれないと考えられている.したがって,AIの利用を促進する際には,そのアクセスの平等性を確保することも重要である.
今後,生成AIが医学論文の作成において重要な役割を果たすことは間違いないと考えられるが,それに伴う課題を克服するためには,研究者,倫理委員会,技術開発者が協力し合う必要がある.AIを活用することで,私たちは新たな知見を得る可能性を広げると同時に,科学の信頼性と透明性を維持する責任を果たさなければならない.それは私たち日本外科学会も他学会と協力しながら,注視していかなければならないと思う.
このように,AIと共に進化する医学研究の未来に期待しつつ,われわれはその利用に関する慎重な姿勢を忘れず,持続可能な科学の発展に寄与していくことが求められている.

 
利益相反:なし

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