日外会誌. 126(2): 220-223, 2025
印象記
体験型市民公開講座「オペスル ほんもので学ぼう!触れる手術室」開催報告
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1) 日本外科学会情報・広報委員会SNSワーキンググループ 山本 健人1)2) , 山田 敏之1)2) , 東 陽子1)2) , 荒 桃子1)2) , 川久保 尚徳1)2) , 前島 佑里奈1)2) , 荒川 衛2) , 大下 恵樹2) , 大西 竜平2) , 河西 未央2) , 北田 悠一郎2) , 栗山 健吾2) , 後藤 健太郎2) , 近藤 享史2) , 菅又 瑞生2) , 鈴木 あゆみ2) , 鈴木 翔輝2) , 銭谷 成剛2) , 高見 秀樹2) , 田中 晴祥2) , 中川 暢彦2) , 肥田 侯矢2) , 藤井 佑介2) , 本多 昌平2) , 水野 隆史2) , 宮田 一志2) , 山本 美葉2) , 小濵 和貴2) , 江畑 智希2) , 齋木 佳克2) , 尾藤 祐子2) , 吉住 朋晴2) , 田尻 達郎1)2) , 武冨 紹信2) |
I.はじめに
2024年11月17日,本学会情報・広報委員会主催の令和6年度市民公開講座を日本科学未来館(東京都江東区)で開催した.
例年,本学会では定期学術集会に付随する形で地域住民を対象に市民公開講座を行っていたが,今回は定期学術集会と切り離した単独開催とした.また,これまで中高年向けの講演を中心としていた市民講座を,史上初めて小中高生向けの体験型ワークショップに刷新し,保護者とともに広く参加者を募集した.
その結果,当日のイベント参加者は600名を超え,盛況に終えることができた.本項では,その振り返りとSNSを活用した広報活動の成果を取り上げる.
II.イベント全体の構成
小中高生に広く訴求するため,イベント名を「オペスル ほんもので学ぼう!触れる手術室」とした.本イベントでは,実際に手術着を着て電気メスを使う,腹腔鏡手術を体験する,縫合実習を行う,ロボットシミュレーターを使用するなど,子どもたちが手術体験を行えるブースを,各企業の協力を得て多数準備した(図1,表1).また,本学会情報・広報委員会SNSワーキンググループのメンバーを含む,30名以上の医師がファシリテーターとして参加し,子どもたちの指導,サポートに当たった.
同時に二つのトークイベントを開催し,ロボット手術と心臓血管手術をテーマに,それぞれ小濵和貴教授(京都大学消化管外科)と齋木佳克教授(東北大学心臓血管外科)が講演を行い,司会を筆者と山田敏之委員(情報・広報委員会SNSワーキンググループ)が行った.


III.広報の成果と参加登録者データ
2024年10月21日に朝日小学生新聞に広告を出稿し,10月28日にプレスリリースを行った.結果的には計39媒体が参加者募集の周知を行うとともに,本学会公式SNSアカウント1)を活用して積極的に集客した.後述する通り,最大の集客源となったのは本学会公式X(旧Twitter)であり,告知投稿は59万を超えるインプレッションを記録した(図2).これは,2024年2月のアカウント運用開始以来,最大の数字である.
計画段階では参加者数の目標は150人であったが,10月28日に参加登録受付を開始したところ,1日で500名を超える応募があり,開始3日で718名(226組)の申し込みに達した.会場の収容人数と当日の安全性を考慮し,予定外ではあったが,10月31日に参加登録受付を終了するに至った.
参加登録時の年齢層の内訳と「オペスルを何で知ったか」に対する回答の分布を図2に示す.本イベントの対象となった小中高生の分布としては,小学校低学年が最も多く,学年が上がるにつれ減少する傾向にあった.
オペスルを知るきっかけとなった媒体のうち,最も多かったのはXであり,新聞広告がそれに続いたほか,今回新たに活用を開始したオペスル公式Instagramや,各種ウェブサイト,江東区内の学校に発送したチラシなども効果がみられた.

IV.事前の関心に関する情報収集
参加登録時には,申込者に対し,関心のあるブースに関するアンケートに回答してもらった.
血管穿刺体験や電気メス,ロボットシミュレーター体験,電子聴診器,AED,内視鏡シミュレーター体験などが事前の人気を博した.
V.当日の参加者
当日の参加者は639名であった.前述の通り,会場のキャパシティの制限から予約登録を3日間で終了せざるを得ず,登録開始4日目以降の参加希望者を取りこぼしたことが,今回の最大の課題と考えている.次年度以降は,目標参加者数を大きく上方修正し,会場の選定も含めイベントの最適化を目指す方針である.
VI.メディアとの連携
前述の通り,開催前には39媒体での取り扱いがあり,効果的な集客につながった.一方,当日取材を行ったのは,NHK(当日夕のテレビで報道)2),朝日新聞withnews3),エムスリー4),時事通信5)の4媒体のみであり,他の大手媒体には十分には取り上げられなかった.
次年度以降は早期からマスコミへの情報提供を計画的に行い,本学会の活動がさらに広く周知されることを目指したい.またイベント当日は会場内にプレスルームを設置するなど,発信体制を強化することも検討する.
なお,NHKのwebニュース記事に添付された動画で本イベント当日の雰囲気がよく分かるため,ぜひご参照いただきたい2).
VII.本イベントの社会的意義
本イベントは今年初めての試みであったが,結果的には,小学生を中心として多くの参加者を集め,学会としての社会貢献,ブランディングにつながったと考える.また,こうしたアクティビティの高さ,社会に向けて開かれた雰囲気が,学会の対外的な求心力につながるものと筆者は考えている.
一方,本学会員やその家族,学会員のcandidateとなりうる医学生は本イベントの対象から外れていたため,次年度以降は,こうした対象も意識した取り組みを同時に行っていく方針で計画中である.
VIII.おわりに
本項では,令和6年度本学会市民公開講座の振り返りを通じ,得られた成果と課題を整理した.次年度以降は,この成功をさらに発展させ,より効果的なイベント運営を目指したい.
利益相反:なし
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