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日外会誌. 126(2): 206-211, 2025

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手術のtips and pitfalls

乳癌センチネルリンパ節生検のtips and pitfalls

TAD(Targeted Axillary Dissection)

がん研究会有明病院 乳腺外科

坂井 威彦



キーワード
乳癌腋窩手術, 低侵襲手術, センチネルリンパ節生検, TAD, Tailored axillary surgery(TAS)

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I.はじめに
臨床的にリンパ節転移陽性(cN+)乳癌患者の治療において,腋窩リンパ節郭清(ALND)は長く腋窩の標準治療であった.上肢のリンパ浮腫などの後遺症を避けるために,cN+患者においても腋窩のより低侵襲な手技が求められている.Targeted Axillary Dissection(TAD)は,術前化学療法(NAC)後にALNDを省略できる患者を精度高く選択する方法として注目されている.

II.TADの適応
治療開始前にcN1と診断され,NAC後に腋窩リンパ節転移陰性(ycN0)となった症例が対象である.NAC前に転移リンパ節にマーキングすることで,NAC中,術前の評価が容易となる.手術時にセンチネルリンパ節と併せてそのリンパ節を摘出して病理学的評価をすることで,摘出リンパ節以外に転移リンパ節を残してしまう“偽陰性率”を十分に下げることが可能となった1)

III.手術の注意点
TADの目的は,NAC後の腋窩の再ステージングを行い,安全にALNDを省略できる患者を選択することである.適切な手術を行う前に,手術に向けた五つの重要な過程がある2).手術の詳細は図と共に下記で供覧する.
1.術前のステージング
2.NAC開始時に転移が証明されたリンパ節(Cytology-proven lymph node: CPLN)へのマーキング
3.NAC中のCPLNの追跡
4.NAC後の画像診断によるycN0の適切な評価
5.手術時にターゲットとなるCPLNの確実な摘出のための位置決め

IV.まとめ
TADは腋窩郭清の省略を可能にし,患者の生活の質を向上させる手法として期待されている.cN+に対するNAC後のALNDの安全な省略に関しては,各施設において標準的な手技の確立と長期的な安全性についてのデータ蓄積が必要である.

 
利益相反:なし

図1 図2 図3 図4 図5 図6

図01図02図03図04図05図06

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文献
1) Caudle AS , Yang WT , Krishnamurthy S , et al.:Improved Axillary Evaluation Following Neoadjuvant Therapy for Patients With Node-Positive Breast Cancer Using Selective Evaluation of Clipped Nodes: Implementation of Targeted Axillary Dissection. J Clin Oncol, 34: 1072-1078, 2016.
2) 坂井 威彦 :術前化学療法が奏効した腋窩リンパ節転移を有する乳癌に対する腋窩手術について―がん研有明病院における前向き観察研究の紹介―.乳癌の臨,38:175-180,2023.

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