日外会誌. 126(2): 183-191, 2025
手術のtips and pitfalls
肝膵同時切除における膵再建の工夫
膵頭十二指腸切除を伴う生体肝移植に応用した膵胃吻合のtips and pitfalls
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1) 神戸市立医療センター中央市民病院 外科 成田 匡大1) , 石井 隆道2) |
キーワード
膵液瘻, 膵胃吻合, 生体肝移植, 膵頭十二指腸切除
I.はじめに
京都大学医学部附属病院では,国内2例目となる生体肝移植と膵頭十二指腸切除術の併施を行った1).本術式を安全に遂行するために必要なことの一つに「膵液瘻のコントロール」が挙げられる.膵液瘻は再建動脈の破綻につながるため,致死的な合併症になり得る.陥入式膵胃吻合は吻合部と動脈再建部との距離を保つことが可能なため,同症例に対して陥入式膵胃吻合による膵消化管再建を選択した.結果,Grade Bの膵液瘻を来したが,出血および重篤な感染症を起こすことなくコントロールすることが可能であった.
II.手術における注意点
・膵胃吻合後の膵液瘻は,多くの症例で膵胃吻合尾側と頭側に胃内との交通を認めるため,ドレーンは膵胃吻合頭側と尾側に留置する2).
・膵胃吻合後の膵液瘻では長期間の絶飲食を余儀なくされるため,経腸栄養チューブを挙上空腸断端より挿入する.
III.術後管理の注意点
・術翌日から経腸栄養を開始する.経口摂取は,術後4日目に立位で腹部単純X線撮影検査を行い,胃の張りがなければ水分から開始する.食事は膵液瘻がないことを確認後,術後7日目以降に流動食から開始し,徐々に食上げを進める.膵胃吻合周囲のドレーンは術後5日目に頭側ドレーン,6日目に尾側ドレーンの排液をそれぞれ採取し,排液中のアミラーゼ値が低値であること,検鏡にて細菌が検出されていないことを確認できればそれぞれ抜去する.
・嘔吐は膵胃吻合部に負担をかけるため,定期的に腹部単純X線撮影検査をチェックし,胃が張っているようであれば経鼻胃管による減圧を行う.
・膵吻合頭側・尾側のドレーンは閉鎖式で平圧(大気圧)管理とし,感染が疑われた場合は陰圧管理にする.
IV.膵液瘻の対策と治療法
・膵空腸吻合との違いは絶飲食が必要であること,感染の起因菌として口腔内常在菌をカバーする必要があることである.
・膵液瘻が疑われる場合,腹部造影CTにてドレナージ不良の有無を評価する.ドレナージ不良で,膿瘍腔が大きく広がっている場合は,経鼻胃管を挿入し,胃内の減圧を行う.ドレーンの入れ替えは,閉塞が疑われない限り行わない.腹水が減少し,炎症が落ち着いた段階でドレーンを交換し,瘻孔化が完成したことを確認後,徐々に引き抜いていく.
・ドレーン抜去後に膵胃吻合周囲に膿瘍腔ができた場合は,絶飲食・抗菌薬の保存的加療を行う.保存的加療にて軽快しない場合は内視鏡下のドレナージを検討する.
V.まとめ
本邦では比較的珍しい膵胃吻合再建における,「膵液瘻のコントロール」の具体的な方策について述べた.
利益相反:なし








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