日外会誌. 126(2): 124, 2025
会員へのメッセージ
専門医制度委員会の活動について
|
日本外科学会専門医制度委員長,大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学 江口 英利 |
日本外科学会が行う重要な事業の一つとして,「外科専門医の育成と専門医制度の運用」が明記されており,これまでも外科においては日本外科学会が誇りを持って専門医制度を整備・運用してきました.しかし本邦では一時,専門医制度を運用する学会が乱立し,専門医の認定基準にバラツキが生じて専門医というものが国民にとって分かりにくい時期がありました.そこで,オールジャパンで専門医制度を整備する目的で2014年に一般社団法人日本専門医機構が発足し,2018年より新専門医制度がスタートしました.そのような経緯を経て,以前の専門医を「学会認定専門医」,新専門医制度による専門医を「機構認定専門医」と呼称しており,現在では外科領域でもほとんどの若手の先生方は機構認定専門医の取得をめざして外科修練に励んでいます.専門医制度委員会は,時代にあわせて刻々と変化する理想の専門医像を見据えて,日本専門医機構と連携しながら外科専門医制度を整備・構築すべく活動しています.
日本専門医機構が目標とする専門医制度は,「国民が受診に際しわかりやすい専門医制度」,「専門医を目指す医師が誇りをもって医療に携われる制度」,「国民だれもが,標準的で安心できる医療を受けることのできる制度」とされていますが,これらに加えて,日本専門医機構の専門医制度では「専門医の偏在」,具体的には「地域偏在」と「診療科偏在」に配慮することが求められています.外科以外の多くの診療科では,地域偏在・診療科偏在によって一部の地域に医師が集まり過ぎているとの判断から,専攻医として研修できる医師数の上限を都道府県ごとに設定する「シーリング制度」が運用されています.一方,外科医は全国的に減少傾向が続いており,診療科偏在という観点から見れば,外科は偏在の煽りを最も強く受けている診療科の一つと言えます.外科医師数は全国的に不足しているため,シーリング制度そのものが外科に適用されていないのはご承知の通りです.外科がなぜ不人気科となっているのか,そしてそれを改善するために専門医制度として何かできるのかを考察することは喫緊の課題です.外科専門医には技術的修練の側面が少なからずあり,その先のサブスペシャルティ専門医の取得まで考えれば修練年数が長いというのも事実でしょう.だからこそ外科専門医制度はどうあるべきなのか,何を改善すべきなのか,日本外科学会の会員の皆様にも積極的なご意見を頂ければと思います.
国民により良い医療を届けることは医師としての使命であることは言うまでもなく,外科専門医制度はそのような専門医を育成する制度であるべきなのはもちろんですが,それに加えて,外科医が活き活きと仕事でき,そして若手医師がもっと積極的に専門医取得を目指したくなるような専門医制度の構築をめざして活動してまいりますので,これからも専門医制度委員会へのご協力を宜しくお願い申し上げます.
利益相反:なし
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。