日外会誌. 126(1): 73-80, 2025
手術のtips and pitfalls
ロボット支援下大腸手術における助手の役割とコツ
ロボット支援下直腸癌手術における助手の役割とコツ
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大阪けいさつ病院 消化器外科 松田 宙 |
I.はじめに
近年,ロボット支援下大腸癌手術の増加に伴い,助手をする機会も増加している.助手はロボットのアームやスコープにより制限された環境の中で,術野展開のアシスト,インスツルメント交換やアームや鉗子の干渉の管理といった特有の役割が要求される1).
助手がロボット手術特有の性質を理解し,コミュニケーションをとりつつ術者と連携することで,ロボット支援下手術の有用性が発揮されより精緻かつ円滑な手術を行うことが可能になる2).本稿ではロボット支援下直腸癌手術の剥離授動における助手の役割,工夫,注意点について述べる.
II.剥離授動における助手の役割
1)ポート配置(図1)
2)内側アプローチ
下腸間膜動脈(IMA)を腹側にマタドール展開する際に,術者の4番Tip-Upの牽引で不十分な時に助手がアシストする.適切な剥離層に入った後,その剥離層を外側に広げる際にも腹側の牽引のアシストを行う.またIMA根部の郭清の際に小腸が視野を妨げる際には排除する必要がある(図2,図3).
3)直腸の剥離授動
ガーゼを用いた直腸牽引が直腸授動における助手の最も重要な操作であり,この牽引が適切であるほど直腸授動はより精緻かつ安全に施行可能である.後壁の授動では腹側に牽引することで後壁にトラクションをかける.前壁の授動においては,直腸を正中頭側方向に引き抜く牽引を行い,授動が前壁左右に移動する際は助手も協調して牽引を左右に細かく調整することで,剥離面はより良好に展開される(図4,図5,図6,図7,図8).








III.工夫と注意点
助手は剥離が進むに従ってテンションが緩むため,絶えず良い緊張の維持に努めることが重要である.
内側アプローチの助手操作においては,術者の左手鉗子との干渉に特に注意を要する.
腹膜反転部より肛門側の前壁の授動では,術者が直腸を背側に圧排した分,助手の牽引を若干弱めることで.前壁の剥離層の展開が良好となる.直腸間膜処理の際の要点も同様で,一定のトラクションを保ちながら術者が切離する部位に応じて牽引の方向を調整する.
直腸の牽引は,間膜の脂肪が豊富で直腸の重量が大きい症例では強く牽引しないとトラクション不足となり,一方で過度な牽引は組織が脆弱な症例では組織損傷を,腫瘍の深達度が深い症例では腫瘍穿孔をきたしうるので細心の注意が必要である.
IV.結語
ロボット支援下手術は特有の助手の役割があり,術者とコミュニケーションを密に取りつつ連携して定型化した術野展開を行うことが,安全で円滑な手術を可能にする.
利益相反:なし
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