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日外会誌. 125(6): 541, 2024

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手術のtips and pitfalls

ロボット支援大腸手術の最新手技

「ロボット支援大腸手術の最新手技」によせて

大阪大学 大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学

波多 豪



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大腸領域におけるロボット支援手術はここ数年で急速に普及が進み,2018年4月に「直腸切除・切断術」が保険適応となり,2022年4月には「結腸悪性腫瘍手術」まで拡大されました.全大腸領域におけるロボット支援大腸癌手術が施行可能となり,全国での施行症例数も着実に増加しています.手術時間やコストという問題点はあるものの,その他の短期成績で優れ,長期成績も腹腔鏡と同等の報告が多いことから,2024年に改訂された新しいガイドラインにおいても,直腸癌,結腸癌手術の選択肢の一つとして推奨されています.
さて,横行結腸癌手術などで行われる中結腸動脈領域の郭清は,血管走行に個人差があることや,周囲臓器との位置関係が複雑であり,難易度の高い手技とされてきました.静脈周囲の操作では出血に留意する必要があり,安定した郭清手技が求められます.また,直腸領域において,進行下部直腸癌に対して施行される側方リンパ節郭清は,尿管や血管,神経などの骨盤内構造物を立体的に捉える必要があり,それらの損傷が合併症に直結することから,解剖の理解のみならず,繊細な手術操作が重要です.ロボット支援手術においては,多関節鉗子や手ブレ防止機能,モーションスケールによる精密な操作,鮮明な3次元画像による優れた空間認識といった長所を生かした手術が可能であり,これらの術式における至適アプローチ法や各施設での工夫について盛んに議論が行われています.
今回の企画では,腹腔鏡手術からロボット支援手術まで先駆的に取り組んでこられた関西医科大学下部消化管外科学講座の渡邉純先生と静岡県立静岡がんセンター大腸外科の塩見明生先生に,中結腸動脈領域の郭清手技,および側方リンパ節領域の郭清手技のtips and pitfallsについてご執筆いただきました.本企画が会員の先生方に役立つ情報になれば幸いです.

 
利益相反:なし

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