日外会誌. 125(4): 376, 2024
手術のtips and pitfalls
系統的肝切除のtips and pitfalls
「系統的肝切除のtips and pitfalls」によせて
広島大学 消化器・移植外科学 小林 剛 |
肝切除の低侵襲化が進み,腹腔鏡下肝切除に続いてロボット支援下肝切除が保険収載されました.肝切除を系統的に行うべきか否かの議論に結論は出ていませんが,安全に低侵襲肝切除を遂行するうえで必須の術式であることに異論はないと思われます.系統的肝切除において肝区域をどのように同定し,切離を行うのかについては,従来からさまざまな方法が用いられてきました.さらに蛍光ナビゲーションによる区域同定法が普及し,特に低侵襲肝切除において必須の手技になりつつあります.
そこで本項では,わが国の低侵襲肝切除をリードして来られたエキスパートお二人の先生に,大きく分けて二つの肝区域同定アプローチ法(Negative stainingとPositive staining)について,系統的肝切除を行う際のtips and pitfallsを解説していただきました.加藤悠太郎先生には,Laennec被膜に基づいた鞘外グリソン到達法によるNegative stainingのtips and pitfallsについて,ロボット手術写真を用いて紹介していただいています.石沢武彰先生には,開腹手術で行われてきた従来の染色法からICG蛍光を利用したPositive staining techniqueにおけるtips and pitfallsについて,幅広く解説していただいています.いずれも開腹手術から低侵襲手術に至るまで,系統的肝切除を正確に行う際に有用なtechniqueであり,長所と短所を理解することで安全な肝切除に役立つものと感じています.
本企画が会員の先生方にとりまして臨床の一助になれば幸いです.
利益相反:なし
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