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日外会誌. 125(2): 177, 2024

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手術のtips and pitfalls

腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下メッシュ修復法のtips and pitfalls

「腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下メッシュ修復法のtips and pitfalls」によせて

東北大学 消化器外科

大沼 忍



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腹壁瘢痕ヘルニアは開腹手術後にみられる比較的頻度の多い合併症の一つで,10~20%の頻度で発生する.症状がなければ経過観察することもあるが,保存的治療では治癒せず,疼痛や腸閉塞の原因となる場合,日常生活に支障をきたす場合,整容性が問題となる場合は手術療法が必要となる.嵌頓を生じた場合は緊急手術となることもある.手術アプローチ法は,従来からの開腹に加え,近年普及した腹腔鏡で施行されることが多くなっている.手術の原則はヘルニア門を直接閉鎖することであるが,再発予防の観点からメッシュを留置することが主流である.メッシュ留置法としては, 腹腔内に留置する方法と,腹膜外腔に留置する方法に大別されるが,それぞれにメリットとデメリットが存在し,最適な留置部位(層)について一定の見解はなく,メッシュ留置部位(層)は施設によって異なるのが現状である.今回,本企画のテーマを「腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下メッシュ修復法のtips and pitfalls」とさせていただいた.腹腔内にメッシュを留置し腹壁を修復する方法(intraperitoneal onlay mesh: IPOM)は,ヘルニア門の大きさが比較的小さい症例に適応され,手術時間も短く,広く普及している.しかし,メッシュを腹膜に固定するため,腸管合併症の発生増加や術後疼痛が強いと言われている.一方,腹膜外腔にメッシュを留置し腹壁を修復する方法は,腹腔内にメッシュを留置しないため,メッシュによる腸管合併症が少なく,またメッシュを固定しないため疼痛も少なく,近年,注目されている術式である.巨大ヘルニアに対しても対応可能とされている.本企画では腹壁瘢痕ヘルニアの手術に造詣の深いお二人の先生に執筆を依頼した.腹腔内メッシュ挿入法は東北大学病院の西條文人先生,腹膜外腔メッシュ挿入法について聖路加国際病院の松原猛人先生に原稿を執筆して頂いた.本企画が会員皆様の診療の一助となれば幸いである.

 
利益相反:なし

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