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日外会誌. 124(6): 521, 2023

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会員のための企画

「安全な外科治療の実践と医療安全文化の次世代への承継」によせて

順天堂大学医学部 下部消化管外科

杉本 起一



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外科手術は患者にとって非常に大きな効果をもたらすことができる一方で,患者に与える侵襲も程度の差こそあれ不可避である.その侵襲を最小限に抑えるべく,外科手術は内視鏡手術やロボット支援下手術などの低侵襲手術が導入され,ここ30年余りの間に大きな進歩を遂げ,非常に高度なものとなった.同時に,高度な外科手術を患者に安全に施すためには,医療安全に対する取り組みは重要であり,次世代を担う若手外科医へ医療安全文化を伝えていくことはわれわれの責務である.
厚生労働省は,平成14年4月医療安全対策検討会議においてまとめられた「医療安全推進総合対策」を基に,平成14年10月には病院および有床診療所に,平成15年4月には特定機能病院および臨床研修病院に医療安全管理体制の整備を義務づけた.これにより医療安全管理者は,1)安全管理体制の構築,2)医療安全に関する職員への教育・研修の実施,3)医療事故を防止するための情報収集,分析,対策立案,フィードバック,評価,4)医療事故への対応,5)安全文化の醸成,等,様々な業務を通し,安全管理体制を組織内に根づかせ機能させることが求められている.
今号の「会員のための企画」では,現在,熊本大学病院医療の質・安全管理部で安全管理責任者として活躍されている近本亮先生に執筆を依頼した.近本先生は,消化器外科医でもおられ,自身の経験を踏まえた,若手への指導,また,他業界の社員教育の方法論も踏まえた外科医の心得など,外科医の視点に立った後進への医療安全教育について執筆いただいた.今後も,若手外科医教育における医療安全文化の承継は重要な課題である.本企画が,会員の皆さまの理解の一助になれば幸いである.

 
利益相反:なし

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