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日外会誌. 124(3): 283, 2023

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会員のための企画

「重症心不全に対する骨格筋筋芽細胞シート移植療法開発における産官学連携」によせて

東北大学 心臓血管外科

片平 晋太郎



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貴重な基礎研究が大学を始め様々な研究機関で行われているが,その成果が臨床に実用化されるものは決して多くはない.特に外科学分野においては多忙な臨床業務をこなしながら研究を行い論文の作成までで終了する場合が多いと考える.
近年,産官学連携による研究開発が研究成果の実用化による社会還元を加速すると言われているが,具体的にどのような流れで“産”,“官”,“学”が連携し,研究が実用化にいたるのか,その過程を知る機会は多くはない.
現在,再生医療分野の研究が様々な研究機関で成果をあげ,臨床研究も進行している.循環器領域においては,大阪大学心臓血管外科でヒト(自己)骨格筋由来細胞シート(ハートシート)が研究開発され,臨床研究,企業治験を経て,テルモ社から2015年に製造販売された.この研究開発は産学官連携功労者表彰 厚生労働大臣賞を受賞している.
本企画を執筆依頼した,大阪大学心臓血管外科の宮川繁先生はハートシートの基礎研究から携わり,製造販売後はその普及に尽力している.ハートシートが使用できる施設も増加しており,今後重症心不全治療法の選択肢の一つとして期待されている.再生医療究の現場から,いかに産官学が連携し,どのようにして保険償還を得,さらに全国への臨床応用拡大へとつなげることができたのか,それらの経緯とそこから見出された課題を「重症心不全に対する骨格筋筋芽細胞シート移植療法開発における産官学連携」というタイトルで外科医の視点から宮川氏に解説いただいた.
本企画が会員の皆様が今後,産官学連携研究を行う助けとなれば幸いである.

 
利益相反:なし

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