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日外会誌. 124(3): 232, 2023

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特集

がん診療における層別化医療の現状と今後の展望

1.特集によせて

九州大学病院別府病院 外科

増田 隆明



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近年,がん患者集団を疾患の特性に基づいていくつかにグループ化(層別化)し,グループごとに抗腫瘍効果が期待でき,かつ副作用の少ない医療を提供することを目的とした層別化医療すなわちPrecision Oncology (精密医療,精密腫瘍学)が,2019年に保険収載されたがんゲノム医療や,多くの洗練された臨床試験により大きく発展しています.この層別化は,薬物療法や放射線療法だけでなく,手術適応や術式の選択にも該当し,専門医であってもキャッチアップしていくことが容易ではなくなるほど複雑化しています.さらに今後もますます層別化が進み,がんの診断と治療が複雑化,細分化していくものと考えられます.
本特集では,層別化をキーワードに,各臓器(食道,乳腺,肺,胃,肝胆膵,大腸,小児)の固形がんに対して,診断,手術療法,がんゲノム医療を含む薬物療法,放射線療法等に関して,現在どのように患者を層別化し治療を行っているかを,最新のエビデンスを踏まえて,また今後の展望も含めて,各疾患のエキスパートの先生方に概説していただきました.専門分野においては知識の整理に,専門外分野においては,がん治療医として各疾患の層別化の違いを眺めながらがん医療の知見を広めることにお役立てできるものと思います.
以上,本特集をもって,がんの層別化医療(Precision Oncology)について臓器横断的にご理解を深められ,日々の臨床および研究にご活用いただけますと幸いです.

 
利益相反:なし

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