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日外会誌. 123(5): 383, 2022

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特集

低侵襲膵切除術の進歩

1.特集によせて

東京医科歯科大学大学院 肝胆膵外科学分野

田邉 稔



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膵切除術は消化器外科領域では最も高難度な術式の一つであり,膵液瘻などの術後合併症は時に致命的に繋がる.1990年代には腹腔鏡手術,2000年代に入るとロボット支援下手術が導入され,消化管外科を中心に発展したが,遂に膵切除術にもこの波が押し寄せてきた.2012年の腹腔鏡下膵体尾部切除を皮切りに,2016年には腹腔鏡下膵頭十二指腸切除が,2020年4月にはロボット支援下膵切除が保険収載された.かつては開腹以外あり得なかった高難度な膵切除術であるが,最近の数年間で腹腔鏡やロボット支援下手術導入の体制整備が急速に進んでいる.2021年には,第33回日本肝胆膵外科学会学術集会においてPAM Expert Consensus Meetingが開催され,微細な解剖理解に基づいた安全な低侵襲膵切除に対する理解が一段と深まりつつある.
一方で,これらの新しい手技の多くは未だ定型化の過程にあり,多くの施設が今後の導入を模索している段階にある.導入に際しては,保険上の施設基準や,日本内視鏡外科学会と日本肝胆膵外科学会が共同で定めた「ロボット支援下膵切除術導入に関する指針」を遵守する必要があり,また術式によっては特定術式としてNational Clinical Database(NCD)の術前前向き登録が必要になるので,学会ホームページを参照されたい.本特集ではそのような腹腔鏡下およびロボット支援下膵切除術について,導入に必要な基本情報をはじめ,使用機器や手術手技の解説などを網羅する.

 
利益相反:なし

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